TRiP

□海賊?なにそれ美味しいの?
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赤い髪の男に抱き抱えられたまま、辿り着いたのは白い鯨の船。

シロナガスクジラ?

実際のシロナガスクジラを見た事は無いが。

いや、確かアレは絶滅保護種で、実際見た事ある人のがレアだったな。


本物とどっちが大きいんだろう?と呑気に考えていると。




「何だァ、シャンクスお前ェ。その小娘は。」




お前がなんだぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!

何コノ図体?!人間?!!人間なのか!??


今私の目の前には、立派…と言って良いのか、ラストクォーターだか下弦の月だかみたいな上向きの三日月の口髭を携えた男がいる。

ってか、あの髭の重力への反発度は、明治時代の男もビックリだな。



「さっきの船の地下の部屋に、身ぐるみ剥がされて繋がれててな。連れて来た。」

「そういう事だよい、親父。」



何?このパインのお父さんなのか?

じゃあ、この巨人パパに気に入られないと私沈められるのか?




…なんか色々失礼な事思って、ごめんなさい。

心の中で謝っていると、そのパインパパはギロリと此方を見た。



え?既に嫌われた?


「お前ェ、名は?」

「あ、杜ノ都林檎です。」

「モリノミヤリンゴだァ?」

「すみません何かすみません本当にすみませんでした。」


赤髪の男の腕の中でひたすら謝っていると、そのパインパパはグララララッと大きな笑い声を上げた。

面白い笑い方だな、なんてぼんやり思ってると。




「面白ェ女だ。ウチの船に乗るか?」

「あ、はい。」




思わず返事しちゃったんだけどぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっ!!!!

いや、待て。

命には替えられない。


取り敢えず面倒見て貰った方が…と思って、次に赤い髪の男の台詞に私は固まった。




「ほォ…嬢ちゃん、海賊になるのか。」




カイゾク?かいぞく?海賊?

…海賊っっっっっ??!!!!




え、海賊ってジャック・スパロウみたいなアレ?

黒ひげみたいなアレ?



此処でやっと私の意識が途絶えようとした。

完全に墜ちる前に見えたのは、髑髏の黒い旗。




あぁ、海賊か。

それって、美味しいの?
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