メモ帳



つぶやきとか。
作品のアトガキとか。
思い付いたネタとか。いつか書きたいと思っているネタとか。むしろ誰か書いてください。とか思っている。

文字通りのメモ帳みたいな。



◆ムジュラ。カーフェイの話 


書いてる作品がまとまらないので、ちょとした短文。勢いで書いたため文が雑or矛盾とかあるかもしれない。

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カーフェイは自分で自分を殴りたいと思った。しかし、それは物理的に不可能であるのは当然のこと。この言葉どおりに自分で自分を殴るというのであれば、鏡に写った自分の姿を殴るというのが一番近いと思われる。
それはさておき、何故カーフェイがそんなことを思ってしまったのには深い深い訳がある。彼の目の前にあるケーキが原因だ。
スポンジは白いホイップに包まれ、縦半分に切られているイチゴが円の側面をしめており、桃がケーキの頭上の独占するのを怯えるように細い蝋燭が刺さっていた。そして、飾れなかったのかチョコレートでできているHappyBirthdayの文字が、ケーキの横にある皿に乗せられていた。お分かりのように、これはカーフェイの誕生日ケーキだ。作ったのは、もちろん愛しのアンジュ。そして、ケーキを作って欲しいと誤解を招くように言ったのは自分だ。
愛しのアンジュは破壊的な料理の腕前だ。見た目は普通。しかし、味が大問題。それはもう寿命が短くなるとアンジュの祖母がひっそりと日記に綴っている。
アンジュの幼い頃からの友達で恋人のカーフェイはその事を知っている。いや、経験させられた。幼い頃に手作りのクッキーをもらったのだ。その時は見た目はいびつだったが、味は普通だったという強烈な記憶がカーフェイにはある。「今日、お母さんと一緒に作ったの」とアンジュは言い、食べたカーフェイは「美味しいから、またクッキー作ってよ」と言った。彼女は笑顔で頷き、ひとりで作れるようになったら渡すわと言い、その言葉どおりに2週間ぐらい経ってからアンジュがひとりで作ったクッキーを渡された。食べたカーフェイはその場でうずくまった後に気絶した。
それから大人になるにつれ、アンジュの料理を何回か食べたカーフェイはあることに気がついた。アンジュは、レシピ通りに作ればやっと食べれるぐらいになり、誰かと一緒に作れば普通になることが分かった。しかし、それは滅多にない。何故なら、アンジュは味音痴だと気がついていないため、ひとりで料理を作ることが彼女にとって至極当然であるからだ。
カーフェイの目の前にあるケーキ。自分のためにひとりで頑張って作ったのだろう。純粋に嬉しい。けれども、これから味わう危険を思うと逃げ出したかった。
「今、ケーキ切るね」
小皿と包丁を持ってきたアンジュが言った。カーフェイはそれが死刑宣告に聞こえた。
少し照れながらケーキを綺麗に切るアンジュに、瞼を強くつぶり、眉をひそめるカーフェイ。それに気がつかないアンジュは、切ったケーキを小皿に乗せてフォークと一緒にカーフェイの手元近くに置いた。
音を聞いて覚悟を決めたカーフェイ。震える手でフォークを掴み、ケーキを一口に切る。そして、それをフォークで刺し口元に運び入れた。





2013/10/13(Sun) 00:45

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