短編

□俺の嫁は 2
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勇者三人の名前表記

時オカ→トキ
トワプリ→黄昏
スカイウォードソード→空

三人は一緒に住んでいる設定。
時オカリンクは大人だけど、ムジュラの仮面クリア後。
スマブラみたいな感覚。
リンク×ゼルダ要素あり?



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今日は来客があった。姫ではない空のゼルダだった。
今日はクッキーを焼いたのよ。多めに焼いたからみんなで食べて、とピンクのリボンでとじられているクッキーの袋を三つ持ってきたゼルダは、それぞれリンク三人に渡した。
マルに星にハートの形のクッキーが数枚入っている袋を黄昏は睨み付けるように見た。
「どうしたの?」
空のゼルダから貰ったクッキーを食べながら聞くトキ。ちなみに空は、やって来たゼルダとそのままデートに出かけた。
黄昏は、二、三秒考えるとクッキーが入っている袋を優しく置くと、カバッとテーブルに突っ伏した。
「ちくしょう!なんで、こんなにうまく美味しそうにできているんだよ!」
「事実美味しいよ、このクッキー」
そう言ってクッキーをもう一枚ほうばるトキ。
ほどよく甘く、冷えてもサクサクのクッキーは空のゼルダの料理上手を表現している。
黄昏はこんな態度をしているが、別にゼルダと仲良くしたいなどと思っていない。むしろ、今のちょとした友人関係が一番良いと思っている。ただ、他のリンク達と比べると卑屈に感じるのだ。コンプレックスだった。他のゼルダは明るく優しいのに、黄昏のゼルダは超が付くほどのクールでカッコイイ。それが、嫌なのだ。幼なじみのイリアも気が強い。なぜ、自分の周りの女性はこうも気が強いような女性が多いのか、そう思ってしまう。
一方、何も感じていなさそうなトキだがそうではなかった。実際は、空や他のリンク達を何度殺そうと思ったことか。特に、空とフシギ(ふしぎなぼうしのリンク)の二人を殺そうと思った。この二人はゼルダとは幼なじみで大変仲が良く、ゼルダのために最後まで戦った。トキもゼルダのために戦ったが、どちらかというと世界を救ったといった方が実感があった。
元の時代に戻ると、ゼルダとは初対面。それから親友という関係を持った。トキも黄昏と同じく、今の関係が一番良いと思っている。以前に持っていた淡い恋はもう無く、ちゃんと親友として見ている。しかし、空やフシギがゼルダとイチャイチャしているところを見ると腸が煮えくりかえり、心底殺したいと思うのだ。
結局、二人とも大人ぶっている年相応の少年なのだ。
「なぁ、トキ」
顔を上げて黄昏は口を開いたが、数秒後なんでもない、と言って深いため息をついた。
手料理について聞こうとしたが、結果はみえている。
どんよりした雰囲気。外も晴れだったのが曇り始め、雨が降りそうになった。
「なぁ、傘ないかリンク」
開いている窓から聞こえた。その声の主は、トキがよく知っている。
青い髪の大人のカーフェイだ。
「…どうした?」
部屋の雰囲気。少し弱々しい黄昏とトキを見てカーフェイは言った。
「恋の悩みか?」
長話になると思い、カーフェイはリンク達の家に入ってきた。
トキのおかげで、アンジュと結婚式を挙げれたカーフェイ。トキとはまだ短い付き合いだが、幼い頃から色々な人を見てきた為か察しやすい。
「そういうアンタは、相手とうまくいってんの?」
少し棘のある言い方をする黄昏。
新婚生活のカーフェイは、苦笑して椅子に座った。そして、青ざめてぶるぶる震え始めた。
「お前達二人に言っとく、結婚する相手は絶対に料理できる人にしろ」
黄昏は頬杖をしながら不思議そうに思い、トキは心底この人が言うと説得力があるなと思った。
「けど、カーフェイさんはアンジュさんを選んだでしょ」
トキが言うと、震えていたカーフェイは穏やかに笑った。
トキは思う。カーフェイを思い、親友のアンジュを思った、クリミアはどうしているのだろうかと。今は笑うようになったが、つい最近まではぎこちなく笑っていた。
思いを断ち切り、心を変えるのは難しい。
トキは最後のクッキーを噛み砕いて食べた。




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