秋組

□April Fool-in Autumn-
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保健室

「あーあ、今年も身長伸びてないー。ちくしょー。健康診断までに伸ばしたいぞー」
「直獅、うるさい」
「琥太郎センセー。一気に背が伸びる方法教えてくれー」
「牛乳飲め」
「もうやった」
「魚食え、カルシウムとれ、よく寝ろ。寝る子は育つぞ」
「琥太郎センセ、投げやりだな。冷たいぞー」
「…っつーか、考えるのが面倒くさい。自分で考えろ」
ガラッ
「あれっ、陽日先生。いいんですか、こんなところにいて」
「何だよ、水嶋。どういう意味だ?」
「だって、朝、テレビでやってたじゃないですか。見てないんですか?中国の山奥で伝説の水が発見されて、それを飲むと身長が瞬く間に2メートルになるとかならないとか」
「なにーっ!!」
「…はぁ、どう聞いても、インチキだろ」
「僕はてっきり、陽日先生はもう旅立ったとばかり」
「も、もちろん知っていたぞ。ただ、俺には可愛い生徒たちがいる。あいつらを置いて、旅立てるわけがなーいっ」
「ああ、そうですよね。僕が間違ってました。陽日先生は身長より生徒ですよねー」
「そうだっ!」
「…」


翌日。

「琥太にぃっ、陽日先生がいないんだけど」
「郁か。この手紙だけが部屋に残されていたそうだ」
「なになに。

『俺は伝説の水を求めて旅に出る。健康診断までには戻る』

あ、あはは…あれ、嘘だったのに」
「直獅にそういう冗談は通じない。ということで、迎えに行ってこい」





直獅は身長のことになると、何にもすがり付く。



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