水中の夢現〜戦場〜短編

□熱い貴方に
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いつものように元親の家のインターホンを押して、遅刻魔の元親を迎えにいく。


「…、あれ?おっかしいなあ〜」


もう一回。



「…、あれ、鍵開いてる」


全く無用心な…。

しょうがない、入ってたたき起こすか。



「元親〜、入るよー」


廊下を歩いて、リビングのドアを開けた。


元親がソファの上で横になっていた。


近くに寄って上から顔を覗き込み、声をかけた。



「元親〜、朝だよ…、っ、元親!?」


ソファに寝転がっていた元親は、顔が真っ赤で、息も荒くて苦しそうだった。



「ん…、矢、吹…?」


「大丈夫!?」


「だ、るい…、」


ゆっくりと身体を起こす元親。


「っとにかく、ベットに行こ」


具合が悪そうな元親を支えながら、ベットまで案内する。


歩き方もふらふらと頼りなくて危なっかしい。


「よいしょ、」


ベットまでたどり着くと、元親は力が抜けたように横になった。


よほど立っているのがしんどいのだろう、布団にうもれてぐったりしている。



「大丈夫?」


「大丈夫…、じゃねえな…、」


熱を測ったら38度もあった。


「うっわぁ…、元親、これ完璧風邪だよ。」


だろうな…、そう呟くと、元親はうたたねをしはじめた。


濡れたタオルを額にのせてやると、気持ちよさそうな顔をした。


「…つめてえ…、」


「元親があっついんでしょ、」


「そうかもな…」


そうかもじゃなくてそうなんだよ、元親。


さてと、と立ち上がる。


「私、お粥作ってくるね、」


そう言ってドアへ向かおうとした時、


元親の力とは思えないほどの弱い力で腕を掴まれた。



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