読み物《短編》
□悪夢の真実
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「はぁ〜……今回のもつまんないレコードだったわ。見た目も平凡なら人生も平凡で。人間の幸せって安っぽいものね〜。さ〜てお次は……」
台帳を片手に人間界の屋根を駆け抜け次の回収場所へと向かう死神グレル・サトクリフ。手にはカスタマイズされた専用のチェンソー型のデスサイズ。
ウィリアムとの最終試験をクリアした後、正式に回収科に配属され魂の回収作業に追われていた。
しかし、この時のグレルは気付いていなかった。自分を狙う1つの妖しい影が静かに近づいている事を……。
ようやく全ての魂を回収する頃にはすかっかり日が暮れていた。協会へ戻る為足を速めるグレルの背後から不気味な影が襲いかかる。
すんでの所でグレルはそれを避けるとデスサイズを取り出した。
影は徐々に輪郭が鮮明になり不気味な悪魔が姿を現した。狙いは回収した人間の魂。
人間の魂の回収を生業とする死神に対し悪魔はそれを横取りする害獣。つまり新人の死神は格好の獲物という事になる。
「アンタ……アタシとやろうっての?上等じゃない。」