読み物《短編》
□暖かい光
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が、すぐにいつもの表情に戻すと恍惚とした表情を浮かべた。
「あぁん、ウィルってばストイックなんだから。そんな所も素敵ョ。」
「仕事の邪魔です。私に構っていないで早く帰りなさい!」
尚も帰ろうとしないグレルに心底不快感を露にしながらウィリアムが言い放つと拗ねた子供の様に口を尖らせた。
「だって、家に帰っても一人なのョ?まだ時間も早いし退屈なんですもの。……人間界に行ってこようかしら。」
「また、あの害獣の所ですか。全く、死神が人間界に深く関わるのは重大な服務規程違反ですよ?」
「わ、分かってるワョ。あっ!ウィル、もしかしてヤキモチ?あぁん、モテる女も辛いわぁ……ってウィル?ど、どうしたのデスサイズなんて持ち出して……っひぃ!わ、分かったワョ。帰ればいいんでしょ?帰れば。」
クルクルと回っていたグレルだが鬼の様な形相でデスサイズを取り出したウィリアムを見ると流石に焦った様子で、手早く帰り支度をして逃げるように部屋を後にした。