Duty デューティ

□10話 林田's story
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「理真。言い忘れてたけどさ、オレらはこのネチネチ野郎の下で働いてるんだよ。」
「誰がネチネチ野郎だ。」

落ち着きを取り戻したリビングで、私にリョウが説明すると男はまた嫌そうな顔をした。
「それでもって…。」
「おい。全部説明する気か!?」
「説明せんでどうしろって言うんや?」
「この人間は全くお前らとは無関係だろ!?なんでそんな奴にオレとお前たちとの関係を説明しなきゃならないんだ!意味が分からん。」

 意味が分からないのはこっちの方だ。
私はただリビングに椅子に座り、ルナは台所から私に微笑んでいた。
セナはソファーに座って鼻歌を歌っている。
「ったく、リョウ!お前もたるみ過ぎだ!」
「お前もな。」
「仕事もめちゃくちゃ。部屋もぐちゃぐちゃ…」
「お前の性格はネチネチ。」
「いちいち口を挿むな!ちゃんとオレの言うことを聞け!」

 男がリョウに向かって怒鳴っていると、突然セナの鼻歌が止まった。
「いい加減にしろ。兄さんたち。」
「セナは黙ってろ!だいたいお前もガムは紙に包んで捨てるのを習慣付けろ!」
「あんたが今話さなきゃいけない相手はリョウじゃないだろ。」
「何?」
「理真ちゃんにお前が説明するのが筋だろ?リョウはもう全部話している。知る知らないの問題じゃない。彼女には理解する権利がある。」

 男は一瞬目を大きくし、そしてセナに向かって小声で「クソったれ…。」と呟いた。
「よく聞くように。」
「は…はい。」

 彼は私に向かって話し始めた。
「オレは警察庁政府特別捜査本部の司令官、林田悠一だ。主にコイツらに情報と指令を与えるのがオレの仕事だ。」
「警察官だったんだ…。」

 私はぼそりと呟いてしまった。
するとリョウが私の肩を掴み、私の隣の椅子に座った。
「この男さ、オレと1歳違いなのに司令官なんだぜ!?今の世の中、おかしいよな!」
「いや。今の世の中がおかしいんじゃない。お前がおかしいんだ。」
「あ?お前の私情、全部話していいか?」

 リョウは笑いながら理真の頭を撫で、そして林田に向かって投げキッスをした。
「待て!何でそこでその話を!」
「いいだろう?お前がどれだけドンマイな奴か、理真にも理解してもらわないとな☆」
「お前が話すと誤解される!お前が話すなら、オレが自分でその人間に話す!」
「よくぞ言った!それでこそネチネチ男だ!」
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