Duty デューティ
□5話 義務
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「ほら、オレンジジュースどーじょ。」
セナはコップを机に置いた。
しかしその衝撃でオレンジジュースが机に零れた。
「あ…。」
「別に…大丈夫ですから。」
「馬鹿たれ。」
ルナがセナの足に思い切り蹴りを入れた。
「あのさ、理真ちゃん。」
「はい。何ですか?」
「タメ語でいいでやんすよ?」
「は…はい。」
リョウは向かい側の椅子に座ると、理真にささやいた。
「まず最初に、オレらは政府が10年前に作って失敗した、アンドロイドの処理を担当してるんだ。」
「本当にアンドロイドっているんですか?」
「いるさ。科学技術が発達したからな。それで、オレたちは政府に使われてるんだよ。念のため、戸籍も消されてる。」
「え?どういうことですか?」
「いつ死ぬか分からないからだ。名前も本当は違う。オレらに与えられたコードネームだ。」
私は驚いてセナとルナに目をやった。
セナもルナも本当の名前ではない。
彼らは政府に完全に人として消されている。
これは人権侵害ではないのか?
「いくらアンドロイドを処理しても、知識が発達し過ぎて全く減らせない。減るどころか、増えてるんだ。」
「まだ作られてるんですか?」
「政府は完全に手を引いたよ。でもアンドロイド自身が、アンドロイドを作ってるんだ。だからオレらは銃とか持つのを許可されてるってわけ。理真はセナがアンドロイドを処理したとことを見たかもしれないけど、セナは普段は指令塔であって、ほとんど処理はしない。」
いつの間にか呼び捨てにされていた…。
「ねぇねぇ!グループ名決めようよ。」
セナは笑いながらリョウの肩を叩いた。
「セナ、リョウに言うなよ。コイツネーミングセンスないんだから。」
「オイ!ルナ。お前は何か思いついたのか?」
私は考えていた。
政府に利用されているのに、彼らは楽しいそうに暮らしている。
まるでアンドロイドを処理する仕事が自分たちの義務のように感じている。
そんな彼らにピッタリの名前を思いついた。
「デューティ。」
「え?」
リョウは私のつぶやきに耳を傾けてはいなかった。
しかしセナはしっかりと聞いていた。
「義務…ね。いいじゃん。これでグループ名入りのTシャツ作れるね。」
セナはDutyの意味を知っていた。
やはり彼は頭がいいのだろう。
「Tシャツとか、部活かよ。」
ルナはセナを見て笑っていた。