Duty デューティ
□16話 最後のアンドロイド
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物音がして林田が顔を上げると、そこには青いリボンに白いYシャツ、灰色のスカートにスクールバックを持った理真がいた。
「理真。久しぶりだな。補習には行ってきたのか?」
「セナから聞いたの?」
椅子に偉そうに座る林田に、鋭い目を向けて私は尋ねた。
「あぁ。それで、補習は行ったのか?」
「…セナ、ここに来てるんだね。」
「何だ?怖いぞ?その言い方。」
理真は大きな声ではっきりと林田に叫んだ。
「補習には行ってきた!だから教えて!」
「…何をだ?」
「セナのこと。あたし、もう1週間もセナに会ってないの!」
「1週間も…会ってないのか?」
初めて聞いたような顔をする林田。
私は思わず顔を顰めた。
「それは…セナから聞いてないの?」
「ちゃんとアイツ、理真の様子は毎日見てるって言ってたぞ?」
「…どういうこと?だってあたし…。」
私はカレンダーに「補習」と書いたのは3日前のことだ。
もしや、彼は私が眠りについた後に、マンションに来ていたのか…?
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「夜中に来てたんだ。きっと。」
呟いた私に林田は心配そうに言った。
「大丈夫か?お前、少し疲れてるんじゃないのか?」
「別に。大丈夫。」
「お前、セナから詳しいこと、聞いてないのか?」
「え…?」
「アイツ、リョウとルナが死んでから、アンドロイド処理の仕事を全て1人で請け負ってるんだ。」
「…あたしそんなの、聞いてない。」
林田は自分の机の椅子から立ち上がり、理真にソファーに座るよう促し、林田は向かい側のソファーに座った。
「あたし、セナに嫌われたんだ。たぶん。」
「何いってんだ?」
「じゃ、なんで夜中にあたしの様子見に来るの!?…あたし、避けられてるんだ。」
「…アイツは今、個人的に追っているアンドロイドがいる。たぶんそれでだろう。」
「個人的に追ってるアンドロイドって?」
「…リョウとルナを死に追い込んだアンドロイドだ。」
セナが…かたき討ち?
私はやっと理解できたような気がした。
「そのアンドロイドは有名でな。」
「どうして?」
「日本で一番最初に作られたアンドロイドだ。だが脳と体の調整が上手くいかず、狂暴になった失敗作だ。そいつはオレたち政府関係者の中じゃ、Md(エムディ)って呼ばれてる。」
「エムディ?」
「あぁ。狂気、Madnessの略だ。どのアンドロイドにもそういう名前が付いている。」
1体目のアンドロイド。
…ならば最後に作られたアンドロイドもいるはず。
性能のいい最後に作られたアンドロイドが、1番最初に作られたアンドロイドを殺すことは不可能なのだろうか。
それができればセナは関わらずに済む。
人間は傷つかずに済むのに。