Duty デューティ
□15話 届かない想い
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私の知っているセナは優しい。
よく冗談を言い、笑うことが好きだ。
しかし今のセナは正反対だ。
ここまで人は変われるのか。
いくら姉や兄のように慕っていた人が死んだからと言って、この変貌はおかし過ぎる。
何か他に彼を追い込むようなことがあったのか。
しかし私には心当たりがない。
荷物をまとめ、私は2度目の引っ越しの準備をした。
ルナから貰ったTシャツ。靴。
貰った時のことを思い出しながら、涙をこらえてバックの中に入れた。
ふとセナに目をやると、セナは何も荷物をまとめていない。
テーブルに寄りかかり、何かを考えている。
「セナ。荷物は?」
思わず尋ねた。
すると彼は静かに答えた。
「オレは基本、ここで生活するから。」
「え?」
「大丈夫。ときどき様子見に行くから。」