Duty デューティ

□9話 寄生虫?
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 セナが言った。
「この子、両親が交通事故で死んじゃったんだよ。頼れる人がいなかったんだ。」
「だから何だ。」

 タオルを頭に掛けたセナがぼそりと言った。
いつの間に着たのだろう。
オレンジの上着を着ている。
「だから少しでも力になれればと思って…ここに呼んだんだ。」
「どうせ遊びのために連れて来たんだろ?」
「は…?」
「お前のことだ。飽きたら捨てるんだろ?オレはそれまで待つことはできない。」

 私はやはり捨てられるのか。

そうだ。
よく考えてみればおかしな話だ。

こんな出会って間もない、全く知らない私をかくまってどうする?
私は遊びのために連れて来られたのだ。
この男の言う通りだ。

最初から私のことを考えてくれる人などいなかったのだ。
「あたし…迷惑をかけたのなら、出て行きます。」
「何言ってるのさ。」

 セナが止めた。
しかし私は俯いたまま首を横に振った。
「そうしてくれ。」

 男が納得したように続けて言った。
「同情で生きていけると思わない方がいい。所詮こんなセナみたいな奴に捕まって人生を狂わされるのがオチだ。」
「林田。少し言い過ぎじゃないか?」

 さすがに傍観していたリョウも止めに入って来た。
「事実を言ってしまえば、君のことを本気で考えてくれる人は、もういないと思うよ。早く施設に入って自立することに専念した方がいい。」

 私の目からぽとりと涙が床に落ちた。
施設に入らなきゃいけないのは知っている。
「林田。」
セナは男に鋭い目を向けて言った。





「ぶっ殺してやろうか?」
「またその脅しか。」
「セナ。やっちまいな。」

 私はルナがセナに指示をした声で顔を上げた。
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