Duty デューティ
□18話 本当のセナ
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セナより先に男が水の中へ倒れ込んだ。
しかしセナは倒れる気配も何もない。
私はただ唖然としていた。
「まともに食らったか?このカス。」
セナは倒れた男の胸倉を掴み、仰向けにさせ、ニヤリと笑みを浮かべた。
「だから1体目はアホなんだ。」
「黙れ!お前もあの2人みたいに殺してやろうか?…いいぜ?火であぶるのは嫌いじゃないぜ。」
「オレは火であぶられても死なない。」
私は口を押さえた。
まさか…セナが。
「ましてやオレはあんたより高性能だ。傷もあんたの10分の1の速さで回復する。」
「だから何だ。『オレの勝ち』って言いたいのか?」
男はセナの手を払い、ナイフをポケットから出した。
「お前が『義務』と例えられるなら、オレは『狂気』だ。」
そう楽しそうに言うと、男はセナに向かってナイフを突き刺そうとした。
セナはそれをかわし、男の手からナイフを奪い取ると、目を鋭くして男の首に突き刺した。
「喉を潰されているうちに言おう。お前はただのガラクタだ。当然オレもだ。いつかは人間に捨てられてゴミの山の中に投げ入れられるんだ。人間なんてみんなそんなものだろ?」
「何が…言いたい。」
「お前はもう充分生きたはずだ。ここで死ね。」
「何!?」
「オレの姉と兄貴を殺した罰だ。」
ニヤリとセナは笑みを浮かべ、そして男の額にまた銃を突きつけた。
セナの額からは血が流れ続けている。
私は耳を塞いだ。
もうここまで狂ったセナをは見たくはない。
聞きたくない。