Duty デューティ
□16話 最後のアンドロイド
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私はただ座っていた。
新しい家は、東京スカイツリーが遠くに見える、マンションの12階だった。
私はそこの広いリビングにペタリと座り、周りを見渡した。
天井はある程度高く、窓は大きい。
寝室は広く、大きなベットが置かれている。
だが私は思うのだ。
一体セナはどうやってこの部屋を買ったのか。
そんなお金が、彼の手元にあったのか。
聞こうと思っても彼に聞くことはできない。
彼はここには住んでいないからだ。
私はもう1週間近く、彼に会っていない。
たった1人で、このクーラーの効いた部屋の冷たい床で、私はいつも横になっている。
食べることも面倒になって、今や菓子類で空腹を満たしている。
食事を作る材料さえ買いに行くのも面倒なのだ。
そのせいかは分からない。
額にできたニキビは痛くてたまらない。
そんな私がいつも思うのは、セナのこと。
セナがどうして私を嫌がるのか。
私にもよく分からない。
分かれば私だって変われるのに、彼はそのチャンスさえ与えてくれない。
これでは彼との溝を埋めることもできない。