だって好きだから!

□♭13
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オレの部屋で勉強を始めていた。

オレは提出期限の迫っている英語の課題に取り掛かっていた。

名前ちゃんに聞くと、随分前に終わらせたと言っていた。

やっぱり、ここのところバスケばっかりだったからかなりの出遅れだ。

そして名前ちゃんは古典の試験勉強をすると言った。


オレの部屋のローテーブルで向かい合って勉強している。

キミは時折辞書を引きながらに脇目もふらずに取り組んでいる。

オレも出遅れてしまった分を取り戻すために、最大集中した。



二時間程たったとき、オレは腹が減ってどうしようもなくなった。

そう言えば昼はオレには物足りなかったんだっけ。

「あー腹減ったー。もう戦えないー!」

と言って仰向けに寝転んだ。

「神くんでもそんなことするんだね」

名前ちゃんがふふふっと笑って言った。

「オレ、お腹空くとダメなんだ…」

力ない声でオレがそう言うと、

「なんか食べてきたら?」

テーブルの下に顔を出して目をくりっとさせて言った。

オレはそんな名前ちゃんをじっと見つめ、おいでおいでと手招きをした。

「なに?」

そう言いながら立ち膝でオレに近づいてくる。

「どうしたの?」

オレの傍までくると、腰を下ろし手をついてオレの顔を覗き込んだ。

「そんなにお腹空いちゃったの?」

首を傾げて心配そうな顔をする。

オレはゆっくりと手を上げてキミの肩に手をかけると、グイッと勢いよく引き寄せた。

同時に体を起こして、キミがバランスを崩し倒れ込むのを支える。

くるりとオレとキミの位置関係が変わる。

キミの後頭部を支えながらそっ床に寝そべらせた。

今度はオレがキミの顔を上から覗き込む。

「もうー、お腹空いてるって言ってたくせに」

口を尖らせる名前ちゃん、んーかわいい。

穿いてるスカートの裾が乱れてほんの少し捲れているのをオレはそっと直した。

「ふふーん…」

と言ってキミを上から眺め回した。

「お腹空いてるんじゃないの?」

首を上げて起きあがろうとするキミの手首をギュッと押さえつけると、上体をそれ以上に起こすことが出来ずまた頭を沈めた。

「空いてるよ」

オレはニヤッとして言った。

「じゃあ何か食べてきなよ、集中できないんでしょ」

「うん…」

「神くんてば」

「…うん」

「神くん、ちょっと目が変だよ…きゃ!?」

「名前ちゃん…」

オレは倒れ込んでキミの胸に頬ずりした。

柔らかくて気持ちいい…。

手を伸ばして触りたい…。

もみゅもみゅってしたい…。

「神くーんっ!」

キミがオレの下で体をくねらせ必死で逃れようとする。

腕と足をバタバタさせて何かに抵抗している。

オレは顔を上げて

「どうしたの?」

とキミの瞳を覗き込んだ。

「だって神くんが…」

「オレが?」

「変なことしようとした」

「してないよ」

「だって胸に顔をお押しつけてきたじゃないー」

「お腹空きすぎて意識を失いそうになっただけだよ」

「ホント?」

「本当!」

半分…☆

「だったらしょうがないけど…」

どうも納得いかないという顔をしているキミを抱き起こして、

「何か食べに行くけど一緒に来る?」

と聞いた。

「お腹空いてないからこのまま勉強してる」

と名前ちゃんは言った。

「じゃあ飲み物持ってくるよ」

と告げてオレは階下に下りた。





簡単に食べれそうな物が他に何もなかったので、オレの大好きなチョ○ワをボウルにいっぱい入れて、牛乳をたっぷりかけてスプーンでひたひたすると勢いよくかっ込んだ。

あー美味しかったーーー!

ついでにM○LOも飲んで、バナナも食べて、ヨーグルトも食〜べよっと。

あ、ソーセージもあるじゃん!!



はあー、ようやく一息ついた。


空腹時は…って言うけど、マジやばかったからね〜。

オレ、よく耐えたよね。

理性が残っててホント良かった。

今日でお別れされちゃうとこだったよ。


お陰でいろんな感触知っちゃった!

今晩からはもっとリアルな夢想ができちゃうな!

ルルル〜♪




さてと、何を持ってってあげようかな〜。

オレは冷蔵庫を開けて飲み物を物色する。

冷茶はさっき飲んだし、

…何コレ?家にこんなのあったんだ。

…でもカルピスソーダはオレとはジャンル違いだよね、却下。

こ、これは…、どうしよう…炭酸て言えば間違えて飲むかも…!?

…おいしいってゴクゴク飲んで、ポーッとなって、“あれ、おかしいな”なんてオレにしなだれかかって、熱い吐息を吐いて“神くん、私…”なんて言ったりして…むふふ。


あ…、元気になってきちゃった…。


……やっぱりダメ、約束したんだから!

キスまでって名前ちゃんと約束したんだから。

バックスペースで妄想削除!

オレ随分良い子になってきたな…。


う〜んと、あ、これでいいか。

レモ○水、こだわりは天然水って書いてあるしこれに決まり。

なんでウチにこんなのあるんだろうパート2だな。

これならあの人と被らなそうだし、舞台裏でアレコレ言われることもないよね。


オレはグラスに氷を入れてレ○ン水を注ぐとオレの部屋へと戻って行った。


部屋の扉を開けようとして、両手がふさがっていることに気が付いた。

どうしよう…と思ったけれど迷わずキミを呼ぶ。

「名前ちゃん、名前ちゃん。オレだよ、開けて」

七匹の子やぎっぽい。

オレ、オオカミになりたーい。


ガチャッ。


「どうしたの?」

いとも簡単に開けられると…萎える…。

「飲み物、両手に持ってきちゃったんだ」

「本当だ」

そう言ってニコッと笑うとドアを大きく開けてオレを通してくれた。

オレはスタスタと部屋に入り、グラスをテーブルの上にコトンと置いた。

振り返って名前ちゃんに

「○モン水だよ」

と言った。

名前ちゃんはオレが通ったドアをパタンと閉めて振り返った。

「ありがとう、ちょうど喉が渇いてたんだ」

そう言って嬉しそうに近づいてくる。

「飲む?」

そう訪ねると、

「うん」

と言ってテーブルの前に座ろうとしたので、パッとグラスを一つ取って、

「はい」

と目の前に差し出した。

膝を屈め始め座る体制に移ろうとしていた名前ちゃんは、そんなオレの行動に一瞬不思議そうな顔をしたけれど、

「ありがとう」

と言ってオレからグラスを受け取り、ゴクッ、ゴクッ、と冷たい液体を飲んだ。

ふぅ…とため息を吐いて、

「美味しかった」

と名前ちゃん。

「もういいの?」

オレが聞くと、

「うん」

と頷いた。

そしてグラスを持ったまま勉強道具の置いてあるローテーブルの席まで移動した。

オレはさっと移動し今まさに座り込もうとするキミの手から奪うようにグラスを取り上げると、パッとテーブルの上に置いた。

オレの不自然な行動に、今度は目を丸くしてじっとオレを見つめる。

オレはそんなキミの体を90度回転させ、腰に腕を回しオレに引き付けると、

「久しぶり」

と微笑みかけた。

「久しぶりって?」

不思議な物を見るような目つきでオレの目を覗く名前ちゃん。

「オレがいなくて寂しくなかった?」

オレは身を屈めてキミと目線を合わせた。

ふふっとキミが笑い出す。

「10分も経ってなくない?」

「オレは寂しかったの。一時も離れてたくないのに、一緒に来てくれなかったから」

オレはわざと口を尖らせて言った。

そんなオレを見て目尻が下がる名前ちゃん。

「でも、私の方はお陰で勉強がはかどったよ」

少しだけどね、とふふふと笑って言った。

「じゃあ、少しだけオレに時間ちょうだい」

オレはキミの目をじっと見つめて言った。

腰に回した手に徐々に力を入れる。

「何?」

オレの腕をチラリと見て、目に警戒の色を浮かべる名前ちゃん。

オレの腕を掴んで逃れようとする。

オレはキミの耳元に唇を当て、

「キスだけだよ」

と囁いた。

キスだけだって言ったのにキミの体が硬直し出す。

「それ以上のことはしないから、安心して」

そうまたキミの耳元で囁いた。

そう言ったのに完全に硬直してしまった名前ちゃん。

オレはキミの腰に手を回した格好のままズルズルと前進した。

キミは足をもつれさせながら後退した。

そのままベッドサイドまで行き、キミのふくらはぎがベッドの縁に当たった。

キミの体がビクリと跳ね上がる。

「神くん…?」

オレの胸板に両腕を当てて僅かな抵抗を見せた。

オレはキミの抵抗を受け入れるように少しだけ体を離し、キミの瞳を覗き込む。

不安げな瞳をオレに向ける名前ちゃんをオレはベッドの縁にゆっくりと座らせた。

オレもその隣に座ると、キミの髪を優しく撫でた。

「キスしかしないよ」

オレはそう言って、キミの肩に掛かった髪を首の後に掛け直す。

髪を払いのけると白い首筋が露わになった。

ぞっとするほどに白く浮き立って見える。

耳たぶが吸い付いてって主張しているように感じるのは気のせいなのかな…。


オレはゆっくりと近づき、顔を埋めるように首筋にキスをした。

唇が触れた瞬間、ビクビク…と体を痙攣させる名前ちゃん。

「神くん…ちょっと…」

オレは唇を首筋から離し顎を肩に乗せると、

「なに?」

と言った。

「キスって言わなかった?」

「キスだよ」

オレは顔を上げてキミから一度体を引き離しキミと向き合うと、今度はキミの手を取ってオレの顔の前に持ち上げた。

「これもキスでしょ」

そう言ってキミの手の甲にチュッとキスをした。


「…神くんさっき、今日は止まれなくなるとか言ってなかった…?」

咄嗟に引っ込めようとする手をギュッと握りしめる。

「愛の力で乗り越えたから大丈夫」

お腹一杯にしてきたし。

「…!?」

「キスしかしないから安心してよ」

「…」

「力抜いて…。緊張してたらいいキスできないよ。呼吸止めちゃダメだからね…」

肩を抱き顎に手を掛けギリギリまで目を合わせたまま唇を重ねた。

ゆっくりと角度を変えながら啄むようなキスを繰り返した後、キミの腰を引きつけてそっとベッドに押し倒した。

キミの顔の横に手をついて上から覗き込むと、キミは目を開けてオレに恐怖を伝えてくる。

「キスしかしない、今はキスしかしないから…」

オレはキミの体をベッドの正方向にズルリと引き上げた。

髪を撫でながらしばらく見つめ合った。

オレはニコリと微笑みかけ、吸い寄せられるようにキミに重なると、ゆっくりと唇を奪う。

大きく口を開いて下唇と上唇を吸い上げる。

時折唇を離してはキミの顔を愛おしく見つめた。

その度に閉じられていた瞳を開いて、オレを見上げる名前ちゃん。

瞼をゆっくりと開けるその瞬間が最も愛おしく思えた。

キミの視界にはオレしかない、キミがオレからのキスをどう感じていたとしてもその瞳にはオレしか映ってないんだ。

そのことがオレをこの上なく幸せにした。

キミが瞳を開ける度にオレはキミをうっとりと見つめ微笑みかけた。

キミがオレにオウム返しのように微笑みを返すと、オレは再びキミにキスをする、ということを何度も繰り返した。


戯れの時間は十分、最初にオレの中で決めていた。

あまりにあっという間で延長戦にしようかと思ったけど、決めたことは守ろうと思った。

枕元の時計で九分が過ぎたことを確認したとき、オレは名前ちゃんの口を開かせそこに舌をねじ込んだ。

驚いたように体をビクッと反応させる名前ちゃん。

オレはキミの右腕を顔の横で押さえつけ、顎を持ち上げる。

そして狭い口内で巧みに逃げまどうキミの舌を絡め取った。

キミの舌の感触を時間の許す限り味わう。

オレがうっすらと目を開けると、苦しそうに顔を歪めたキミの頬がほんのり赤く染まっているのが見えた。
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