そのほか
□melt
1ページ/1ページ
夏は嫌いだ。
アイスである俺は、暑さに弱いから。それに。
「…あつい」
うだるような暑さの教室で、自分の机に突っ伏したまま俺は呟いた。
すると、隣の席に座るシュシュが心配そうな顔をして覗き込んでくる。
「おーいアイス…大丈夫か?」
「…溶ける…」
「う、うわー溶けんなー!」
力無い声で言葉を返すと
シュシュは焦ったように机の中から下敷きを引っ張りだして、俺のことを扇ぎ始めた。
「あ、扇いでやるから!がんばれ!」
(頑張れって…それじゃ逆効果だって、ば)
もう半分も機能していない頭で、そんな事を思った。
アイスは風に当たるとすぐに溶けてしまう。
よってこれは結構危険な状況なんだ…けれど。
「っふ、ふん…」
「……」
そんなことは知らないらしいシュシュがバカみたいに一生懸命扇いでくるものだから、いつもみたいに毒のある台詞が出てこないのだ。
「…アイス?涼しいか?」
「あ、あ……うん」
あああ、何やってんだろう俺。
そろそろ本気で溶けるし、かなりやばい生命の危機だっていうのに。
(…これだから夏はきらいなんだ…)
結局俺は、とても気分がいいとは言えない風に扇がれながら
ゆっくり、目を閉じることにした。
<あとがき>
この後すぐケチャ+マヨが来てシュシュを止めてくれます。アイスしんじゃうから!
シュシュはみんなのツッコミ役だけど変なところでボケてたらかわいいな。