小市民シリーズ

□狼さんと狐くん
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―狼は、狐よりもずっと大きくて強いの。

だからね、『狼』であるわたしは、『狐』であるあなたなんて一口で食べられちゃうの。

それを分かってる? 

きっとあなたは分かっていないわ。
だってもしわたしが狐さんで、狼の怖さを知っていたのなら。

そんな無防備な寝顔なんて、見せる筈が無いものね。




「…ん、小佐内、さん?」

机に伏していた小鳩くんの身体が、ゆっくりと起き上がる。
わたしは控えめに笑みを浮かべて、

「おはよう、小鳩くん」
「…ご、ごめんね。待ってる間に寝ちゃうなんて」

そう言って小鳩くんは、さも申し訳なさそうに眉尻を下げる。
その様子がとてもかわいい、と思ったけれど、勿論口には出さない。

「ううん、待たせたわたしが悪いの。…帰ろう?」
「うん」

小鳩くんが笑う。
その度に私の中の狼が唸り声をあげる。



―でも安心して?
わたしはやさしい狼なの。

だから、一番好きなものはずぅっと残しておいて。

最後の、お楽しみに食べてあげるから。
                      



<あとがき>
こばおさはむしろおさこばっていうか小佐内さんマジ狼っていうかそんな話(説明になってない)。

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