憂鬱なきみへ。

□憂鬱なきみへ。9
1ページ/6ページ

 
なんて気持ちのいい青空

夏も近づき、暑くなりつつある今日この頃…
制服も重たいブレザーから半袖のベストへと代わり、気持ちまで軽い気がしてくる



「ふあぁ〜…。やっぱ屋上はいいなぁ…」



空を見上げて寝転ぶ
コンクリートの冷たい感覚が背中に心地よい

ゆっくりと流れていくあの白い雲に乗れたらいいと、今思う…


もう少しこのまま。
このままでいたい。

いっそチャイムが鳴らなければこのままでいられるのに………


…そう、今は授業中。
言わずもがなだが…数学の。


でも今日は自習
なんだか先生たちが進路のための会議だとかで…三年生はそろって自習になっている

どのクラスも担任の先生の授業が自習なこの時間…
嫌いな数学が自習となり、この日だけは担任が数学の先生でよかったと思う…



「数学か…」



嫌いな科目
苦手な科目

でも…その先生は好きだ
その気持ちのまま教科も好きになれればいいのに、と思うけど…どうもそれは無理みたいだ

たとえザラ先生の授業と言えど、眠いものは眠い
特に最近は家でも毎日予習やら復習やらをやらされて少々うんざり気味だ



キャンベル先生とのことも誤解だとわかったけど…
…でも、……どうにも進展しない、私の恋……(べ、べつに期待はしてないけど)


家に帰ったら先生がいる
そこにいるザラ先生は優しくて面白くて……先生であって先生ではない

なんと言えばいいのかな。
決して『兄』などではないが…もちろん『恋人』ではない

でも『担任の先生』というわけでもなくて…


ああ…うん、そう…、
『私だけの先生』なんだ


それで満足してるからいけないのかな。
だから進展しないのかな。


でも今はそばにいるだけで幸せなんだ


幸せだと…思えるんだ……






気がつけば誤解の解けた“あの日”から大分時間が経ち、季節さえ変わろうとしていた
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ