夢小説二

□蜉蝣
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私が狼狽えながら前後の二人を交互に見遣るうちに、いつの間にか神社の奥の林に連れ込まれてしまった。

薄暗がりの中、あちこちで男女が縺れ合い、喘ぐ声が聞こえる。

「……何…ここ…?」

「祭りなんだから、当たり前だろ?さぁ、オレたちも楽しもうぜ…」

叢の中に乱暴に押し倒されると、一人の男が私の上に馬乗りになった。

「いやぁ…っ!」

私は恐怖のあまり、無我夢中で手や脚をばたつかせて抵抗した。

「…ちょっとおとなしくしてろよ。すぐ終わるからさぁ」

もう一人が厭らしい笑みを口許に浮かべ、私の両腕を掴んで頭の上に押さえつけた。

「あぁ…!やめ…ッ!!」

浴衣の前に手がかけられ、力任せに左右に押し開かれると、私は悲鳴しぎゅっと目を瞑った。

「…ぐはッ……!」

刹那、短い呻き声と共に私にのし掛かっていた男の気配が消えた。
驚いて目を開けると、私の横にうつ伏せに倒れた男の姿…。
私の腕を抑えていた男は悲鳴をあげ立ち上がると、転がるようにその場を立ち去った。

突然の出来事に、私が呆然としていると、聞き覚えのある男の声が聞こえた。

「…我が妻になろうという女が、なんという痴態だ」

「なっ…!」

風間さんだった。
相変わらず高飛車な、人を見下すような目付きで、脚が震えて起き上がれずにいる私を見詰めている。

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