夢小説二
□我儘
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私はそんな沖田さんに後ろ髪をひかれながら、大急ぎで広間へ行くと、近藤さんに頼まれた用事を済ませた。
思ったより早く終わったので、嬉々として沖田さんの部屋へ向かおうとしたが、途中で土方さんに呼び止められてしまった。
「おい、千鶴!ちょっといいか?」
「…あ、はい!」
(近藤さんの用事が済んだら…って言っちゃったけど、土方さんだから仕方ないよね?)
自分にそう言い聞かせながら土方さんの用事を終え、やっと沖田さんの部屋まで戻って来た。
「沖田さん、千鶴です」
「―――――――」
障子越しに声を掛けるが、返事が無い。
待ちくたびれて、寝てしまったのだろうか?
「…沖田さん、入りますよ」
私はそぅっと障子を明け中に入ると、布団の上に横になった沖田さんの姿があった。
奥の壁のほうを向いていて顔は見えないが、寝ているのだろうか。
「…ちゃんとお布団掛けて寝ないと、風邪引きますよ」
私は布団を掛けてあげようと傍に寄ると、伸ばした手を沖田さんが払い退けた。
「…もう、放っといてくれよ!」
急に怒鳴られて、吃驚した。
沖田さんは私のほうを見ようともせず、ふてくされている。
「沖田さん…」
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