夢小説一
□眩暈
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天気の良い昼下がり…といっても、まだ肌寒い季節だというのに、沖田総司は風呂あがりに縁側に腰掛け、風に吹かれていた。
「風邪引きますよ。」
この間も咳をしていたのに…と、千鶴が声を掛けた。
いつもは結っている髪を下ろして、静かに庭を眺めている総司の端正な顔に千鶴が見惚れていると、不意に、総司が振り返った。
「――千鶴ちゃん、こっちにきて。」
そう呼ばれ傍によると、座っている総司に立ったまま抱きしめられてしまった。
「…沖田さん?!」
いつもは自分よりはるか上の方にある総司の顔が、すぐ下にあって、俯いた顔に下方から口付けられてしまう。
唇を割って強引に入ってきた総司の舌が、千鶴の震える舌を絡め取り、激しく口腔を動き回る。
「んっ……んぅ…」
千鶴は驚き逃れようとするが、総司の長い両脚の間に身体を挟まれ、腰は逞しい腕に抱えられて、逃れることが出来ない。
ちゅくちゅくと音を立てながら何度も舌を絡ませては吸い付く、激しく頭の芯まで痺れる様な口付けに、
千鶴は朦朧として腰が抜けてしまった。
「…ん…ふぅ……」
総司が千鶴の唇を開放してやると、離れた二人の唇から、銀の糸がつぅっと引いた。
「…気に入っちゃった。」
ぺろっと舌を出して、面白い玩具を手に入れたときの子供の様な、無邪気で、それでいて意地悪な笑みを浮かべる総司。
「――やっ…やめてくださいっ!」
はっと我に返り、逞しい胸を押して逃れようとした途端、総司が急に咳き込んだ。
「沖田さん!」
千鶴は咄嗟に背中を摩った。
「…ゴホッ……大丈夫だよ。千鶴ちゃん……お茶、持ってきてもらえる?」