夢小説二

□内緒
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 それは、何だかとても厭らしい夢だった。

どんな夢か……というのは定かではないが、ふわりと持ちあげられた身体が急に強い力で引っ張られ、底無し沼に引き摺り込まれるような……突然湧きあがった、達してしまいそうな程ぞくぞくする感覚に驚き、私は目を覚ました。

「……う…ん…」

身体が熱い…。

薄暗いなか、目の前に板張りの床と転がった御猪口、そして大の字に寝転がる永倉さんの姿が見える。

夕餉のあと、夜の巡察がある斎藤さんを除いて大広間で始まった宴会は夜更けまで続いた。
途中、近藤さんと土方さんが別室で飲むと言って退席すると、沖田さんも調子が悪いからと部屋へ戻り、私は残った永倉さんや平助君たちと飲んで、そのまま雑魚寝してしまったらしい。

横向きに寝転がったまま、ぼぅっとした頭でそんなことを考えていると、私の背中に暖かな温もりを感じた。
背中にあたる厚い胸、逞しい腕が私の前にまわり、ぎゅっと抱き締められる。
私の身体がすっぽりと覆われてしまうほど大きな体躯……左之助さんだ。

「……千鶴…」

耳元に吐息を吹き掛けながら、左之助さんの大きな手が懐に入ってくる。
胸を揉みしだきながら耳朶を甘噛みされ、耳の中に舌を挿し入れながら熱い指先に胸の飾りを弄ばれると、どうしようもなく昂ってしまう。

「…あ…っ…左之助さん、……こんなところで…だめ……っ」

目の前には永倉さん、すぐそばには平助君だって寝ている。
皆に気付かれまいと声を抑えるが、息が上がってくる。

「……新八は鈍いから心配ねぇよ…。平助は一度寝たら朝まで起きねぇ…。それに、こういう方が興奮するだろ…?」

「…そんなっ…!」

左之助さんは真っ赤になった私の顔を覗き込みながら、耳元で囁いた。

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