†novel†


□空に似たソラ
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 僕は空を見るのが好きだった。青く爽やかに笑う朝も、いろんな人を明るくするために笑う昼も、静かに他人を包み込むように笑う夜も。全部好きだった。だけど、一瞬だけ空を見るのを忘れてしまったことがあった。それはソラがあまりにも空に似ていたから。
「おはよう。」と言って笑う顔も、一緒にお弁当を食べておしゃべりしてる時の顔も、放課後一緒に帰って「バイバイ。」って言う時の顔もすべて空に似ていた。
 昔、ソラが言っていたことがあった。
「私ね、空の生まれ変わりなの。空ってね少し前までは人間として私たちと一緒に暮らしてたのよ。」と。僕は、あながち間違ってないんじゃないかと思った。空は僕たちがあまりにも空の美しさを忘れてしまったから、生まれ変わりとしてソラを寄越したんじゃないかと。

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