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□序盤
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『………』
目を開くと、何処までも続く白い世界。
左右上下すら存在しない、無限世界。
正直言えば、この世界は飽きた。
いつも、死んだらこの世界に来るから。
あぁ、死んだと言えば、今回はどうして死んだのだろうか。
確か……槍で心臓を貫かれたからだっただろうか?
それとも、壁に押し潰されたからだっただろうか?
どうも、この世界に来ると転生の記憶がごちゃ混ぜになる。
何とも気持ち悪いが、その感覚にも慣れてしまった私達は、随分と死んでいるようだ。
『次は、どこにいこうか』
声を出している筈なのに、この世界では音は響かない。
自分自身、話しているのか心で思っているのかすら分からない。
『転生プログラム、解除』
早く、ここから出よう。
生きる事に執着心は無いが、この世界にいるのはどうにも落ち着かない。
感覚の全てが気持ち悪いのだ。
『進行状況、確認。到着場所、未確認。時間軸、未確認』
場所は何処でも良い。いつの時代でも良い。
『転生開始』
どうせ、結局は死ぬのだから。