>カカイルSS

□見舞いの品の行方
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猿飛アスマが休憩所に顔を出したとき、はたけカカシは文庫本片手に長椅子に座っていた。
  窓際に置かれた観葉植物の横、脂で黄色くなった喫煙ゾーンから離れたソファの席は、昔からカカシのお気に入りだ。すぐ傍に飲み放題のお茶はあるし、振り仰げば横に長い窓から青空も見える。
 アスマはのっそりとサロンの入り口を潜る。顔見知りの上忍は何人かいたが、声をかけてくるような奴はいなかった。下忍中忍なら休憩所でも情報収集に勤しむだろうが、上忍ともなるとそうもいかない。性格的にも一癖二癖ある奴らばかりだし、仕事にしても話せない内容が多すぎる。
 藍色とオレンジが拮抗する窓越しの夕焼けを見ながら、アスマはカカシの前のソファに腰を下ろした。

「……禁煙」

 ライターを弾こうとした途端、ページをめくりながらカカシが口を開いた。
  久しぶりに見る白髪を、アスマは見下ろす。

「いつからだよ」
「今」

 文庫本から目を離さずに、カカシはそんなことをいう。

「灰皿あるじゃねえか」
「俺がいる間は禁煙」
「そりゃお前が嫌いだってだけだろうが」
「病み上がりで敏感なんだよ」

 いちゃこらしている男女のページに釘付けのままのカカシにかまわず、アスマは胸ポケットから取り出した煙草に火を付けた。
  思い切り白煙を吹き付ける。顔を顰めたカカシに、ついでのように言った。

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