>おお振りSS
□After 3 years〜田島サイド
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花井の部屋の天井は白だ。
そこがまず違って、起きた時俺はいつもびっくりする。実家は木だった。寮は茶色でざらざらしてて、さわるとボロボロなんか落ちてくる天井だ。砂天井というのだと、先輩に教えてもらった。
入寮日の夜、面白がってさわりまくって、ベッドからなにから掃除するはめになったことを思い出しながら起き上がる。朝より頭がくらっとするのは昼寝の証拠。変な時間に変に寝ると俺の身体は俺に反発しだす。まあいいじゃねえかとなだめるのも俺の仕事。
花井のいない花井んちで、寝る以外なにしろってんだ。
「うおい、おあよー」
いい感じに効いてるクーラー。設定温度が絶妙だ。おかげでよく寝れたなーと目えこすりながら言ったら、冷蔵庫の前にいた花井が言えてねえよと面倒そうに言った。
つるつる坊主頭。
驚くほどちいせえ冷蔵庫に膨らんだ買い物バック。花井はスーパーの白い袋を使わない。近くの店が金とるんだそうだ。
ってことはああ、買い物いってたんだな。
「チーズムシパンかってきてくれた?」
「……お前何様だ」
睨んでくるからないのときいたらあるよと言われた。なら最初から言えばいいのに。変なとこ強情だよな花井。
変じゃないとこも強情だけど。
「食べるー」
「いいけど。メシあるぞ」
「それもくう!」
ったくよーと言う声と一緒にチーズムシパンの袋が飛んできた。甘いフライ球。くしゃくしゃのタオルケットの上で伸び上がってキャッチ。
「ナイスレフトー」
「自分で言うなよ」
背中だけで花井が笑う。しょうがねえなっていう、そんな感じの顔だ。たぶん。
俺は花井のそーゆー顔がゲンミツに好きなので、みられないのがちょっとくやしい。なので、大声でいただきまーすと言って蒸しパンの袋を開けた。
「でけえ声出すなよ。隣に響く」
「あーそれよく先輩にも言われる。うるせえって」
「……なら学習しろ」
むしゃむしゃむしゃ。三口で食べたムシパンはすごい勢いで喉につまった。うぐと呻いた瞬間あーもうと言った花井が今度は1リットル牛乳パックを放ってきた。
水が一杯まわりについたそれをばりばり開けて一気に飲む。っはーあっ。
「助かったあ!」
「ああそうかい」
買って返せよ。冷蔵庫に野菜突っ込みながらそんなことを言う。