>トリコSS

□Time after time2
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「たとえばさ」
ゆるやかな声でココは言った。
「もし自分の右腕がなくなったら、嫌でも気づくだろう?」
夜。さらさらと柳が鳴る細い道。水銀灯の白い光の下で、ココは小松を見る。
「いつだってどこだって、どうしたって気づく。気づかない訳がない。そうだよね?」
上げた右の拳をゆるやかに握る。白い手の動きが、まるで何かを包むように見える。
「彼らに何かあったら、僕は嫌でも分かるよ。――嫌でもね」
だから殊更会う必要はないんだ。
最後にそう付け足した声に、小松は思わず泣きそうになった。


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