>銀新・AllキャラSS

□だんだん(買出し)
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 商店街を渡り歩き、買い物袋を抱えた新八が待ち合わせ場所へ戻ると、銀時はスクータごと消えていた。
「あんの馬鹿上司ー」
 チョコ買え飴買えと邪魔ばかりするから置いていったのが悪かったか。
眦つりあげた新八は、両手両脇に抱えた荷物を放り出そうとしてやめた。
卵が特売だったのだ。
 ビニール袋で足下を埋めながら周りを見回す。商店街外れの小さな原っぱにはもちろん人影はない。少し待ったが、飛び回るトンボが増えるのと、夕焼け色が
濃くなるばかりでむかつく銀色は帰ってこない。
 仕方ない、と新八は卵の入った袋だけ持って空き地を出た。他の三つは積んであった土管に隠しておけば問題ないだろう。

 商店街を逆に辿っていく。
 床屋魚屋クリーニング屋。コロッケの美味しい肉屋に八百屋。
 揚げ物の匂いに腹が鳴る。一つ買って頬張りながら歩いた。どうしよう幸せだ。
 夕焼けはどんどん鮮やかになる。
 両脇に連なる店が途切れた先にも上司はいなかった。新八はくるりと踵を返し、ふと思いついて一本道をそれる。路地の先には大通りがあり、大きなスーパとチェーンのレストランと喫茶店がある。
 昨日はスーパに行った。トイレットペーパが一袋50円だったからだ。
大した荷物じゃないからスクータは出してもらわなかった。
 油の染みた包み紙をくしゃりと潰し、通りを見回すと、目指す銀色が喫茶店の前にへばりついていた。

「何やってんスか。あんた」

 ディスプレイにしがみつきながら上司は言った。

「宝もん見てんの。邪魔すんじゃねえよ」
「客に迷惑なんだって何でわかんねえのいい大人が!」
「うるせえ俺ぁ十五の時に年取るのやめたんだよ!」

 よだれを垂らしつつ鬼気迫る表情で上司は言い放った。視線の先にはどでかいパフェの見本がある。『秋の新作』『パティシエ広司プロデュース』『かつてない衝撃があなたを襲う』と踊り文句が舞い散るショウケースを、新八は溜息混じりに見つめた。

「こーなるから見せたくなかったんですよ」
「こうなるからって、あ、てめえだから道変えたな! とんでもねえ奴だぜホントに! 俺ぁ広司に申し訳がたたねえ」
「知り合いか広司と!っつーか僕は広司の気が知れないっスよ!」

 何だと、と銀時がようやくショウケースから剥がれた。

「パフェの上にショートケーキのせるなんざあ、並みの男にできるこっちゃねえ。俺の広司馬鹿にするとしょうちしねえぞ!」
「だからその神経が信じられないって言ってんだあああ!」

 パフェだぞ。なんでショートケーキのっける必要があるんだよ。
いらないだろむしろ分けて食え!


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