短い物語

□*Desire*
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この、可愛過ぎる恋人は
何処までも
俺の欲望を
駆り立てて
そして、
――…狂わせる…。




:::Desire:::



もう、誰も居なくなった
静まり返った部室の中。
響き渡るのは
深い、深い、口付けを交わす
恋人達の水音だけ。

深く差し込んだ舌が
縦横無尽に口内を這いずり廻り



「ん…ぁ………。」



思わず漏れる
恋人の可愛い声に
自然に手が腰をなぞり
下腹部へと伸びたその瞬間

ドンッ

と、鈍い音がして
唇が離れた。



「バカ野郎!何すんだ!。」



まただ…。



「…求めて何が悪いんだ?。」



「…………。」



ほら、また黙り込む…。



「その…何だ…つーか…。」



そしてまたうつ向いて
理由らしい理由を
言葉にする事も出来やしない。
少しの苛立ちを覚えながらも
そっと頭に手を伸ばすと
ビクンと身体をこわばらせて
ギュッと固く瞳を閉じる。
そんなコイツに沸き上がってくる
罪悪感。
だから、
こんな状態になった時は何時も
長く艶やかな黒髪を
優しく、優しく、
慈しむ様に撫でてやる。
そうする事により
閉じられた瞳が開いて
ゆっくりと上目使いに見上げるその眼は
子猫の様で
それは、犯罪級の可愛らしさ故に
自身を抑える事に
精一杯の俺が何時もそこに居る――…。




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