短い物語

□I'm on fire
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古い映画を見ている様な
モノクロの世界だった。
其の世界は、一つの出逢いにより崩壊し
俺の瞳に広がってゆく
鮮やかな原色の世界



I'm on fire






幼い頃から
両親は海外へと飛び回り
執事と、数人の小間使いが
俺にあてがわれた。
『あれが欲しい。』
そう言えば、全てが手に入った。
だがそれは全て金で片付けられる物であり
幼少からの早期教育と其の環境は
俺から、この時期特有の幼い可愛らしさや
親の愛情を求める全てを奪い
冷めた瞳の何処か大人びた子供を
造り上げていったのだ。

幼稚舎からの一貫教育で知られる氷帝学園。
幼、小、と友人等作る事もなく
何処か見下した目で
周りを見ていた様に思う。
中等部へと上がり
其の状況は未だ変わる事なく続いていた。
そんな中で唯一俺の心を熱くしていたのが
テニスだった。
当然の様にテニス部へ入部した俺は
やはり此処でも抜き出ていた様に思う。
そのせいか
他の部員に興味等なかった。
俺の先に有るもの
それは何時も、
その世界の頂点。
ただ、それだけだったのだ。



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