短い物語

□*LOVE PHANTOM-ver.Y.O-*
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ただ、一度だけ君を抱いた。
あの夜の、
君の温もりは
未だ冷める事なく
夢と現の狭間でさ迷い歩く
愚かな俺を
君は哀れに思うだろうか――…?。




LOVE PHANTOM
-ver.yuushi-





「…自分何してんねん…。」



魂が抜けたかの様に
虚ろな眼差しで夜の闇をさ迷う友人を見つけた。



「…別に…。」



そう言って
視線をアスファルトへと向けるこの子は
随分と弱々しい印象を受ける。
あの頃の勝気な瞳は
光を失って
この子の瞳は
この、夜と同じ深い闇。



「……行くで。」



意思を聞く事なく
腕を掴み
強引に腕を引いた。
引きずられる様に俺の後を歩くこの子を
何故、放っておけなかったのか…。
答えは至極簡単で明白な事。
この子は捨て猫みたいに
温もりを求めているから。
きっと誰かれ構わず誘われれば
付いて行きそうな程に…。
全身で愛して欲しいと叫んでいたから…。




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