SCHOOL LIFE 長編
□04:理解者と大切な出会い
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「うそ………、どうしよ」
「…………」
04:理解者と大切な出会い
校舎から校庭に出るのには、一階にいくつもある玄関を出ればよかったが、
帰りは玄関から教室に戻らなければならない。
このバカデカイ校舎では迷うばかりだ。
「…………迷った」
柚梨は腰に手をあてて、正面にある階段を見上げたり、背後の玄関を見たりキョロキョロした。
階段を上がろうか、もう少し歩いてみるか。
「鳳凰、どうしたらいいと思う?」
幸か不幸かまわりには誰もいないので鳳凰に話しかけてみた。
しかし返答はない。
「あれ? 鳳凰。…………、寝てる…」
うーん、と柚梨は首を傾げた。
「おや、柚梨。ちょうど良かった。何をしてるんですか?」
「あっ、松陽先生、道に迷ってたんです」
「無駄に広い校舎だからしょうがないけど、自分の学校で迷うなんて困まりましたね。
そういえば、誰にも校舎案内させてなかったかな」
背後にいた松陽に柚梨は安心したように息をはいた。
「はい、広くて驚きました。
えと、ちょうど良かったって?」
「あぁ、うん。いま平気かな?」
「はい、大丈夫ですよ」
松陽は頷いて、もと来た道を先に立って歩き出した。