氷帝

□その一秒スローモーション!
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「鳳!遅い!バス来るぞ!」
「日吉〜!ごめんよ!」
いつもよりたくさん寝癖がついてる
・・・まぁ気にしない!

長い長い下り坂
寝癖はたくさんついてる
駆け足で転ばないように

「鳳!来る!さっさとしろ!」
「待ってぇ!」

間に合え!
息を切らし走る 昨日の雨 水溜りをよけて
気をつけて跳んだつもりだった 靴を汚すまいと思ったから
あがる水しぶき 波立つ雲

ぶつかる 振り向く君

スローモーション 落とすかばん
目が合う一瞬 ほんの一秒 でも・・・永遠に続きそうで
思わずそらす視線の先にびしょぬれの靴
はっと我に返る俺 せ・ん・ぱ・い・だ
あなたは無言

「すいません!怒ってますよね!」
「ったく一年か?下向いて走るなよな」
テニスラケットを背負った先輩は笑いながら
かばんを拾ってくれた

「え・・・あ!」
ボサッとしてた俺に
「ほら。ちゃんと持てよ。次は気をつけろよな」
差し出されて両手で受け取る。頭をわしゃわしゃされた

やられた思考が止まる

「何してんだよ!行こうぜ」
「向日!待てよ!じゃあな一年!」

スローモーション 衝撃が駆け抜けていく
ほっぺをつねる 落ち着け!舞い上がるな!俺!
止まらないドキドキ スピードを上げる心臓の音
あなたは歩く 俺は・・・思わず

後ろからシャツを引っ張っていた

「ん?どうした一年」
ひとすじの風 木の葉を揺らして 雨露がパラリと降りかかる
俺は見上げる まっすぐにあなたの瞳を見る

コレハ恋ナンデスカ?

「え・・・あ!なんでもないです!」
ぱっとシャツから手を離す
まずい・・・ばれた? お願い 気づかないで!
スローモーション 多分顔は真っ赤だ! どうしよう。
停留所からバスが走っていく
「あ〜あ。遅刻だな・・・。」
あなたがつぶやく おれはとっさに
「はいっ!」って元気よく返事した

「仕方ねぇ。歩くか一年。名前は?」
「鳳・・・鳳長太郎です!」
「俺は宍戸亮。いくぜ長太郎!」
「はい!宍戸さん!」

ウレシイ

〜おまけ〜
二人を無視してバスに乗った二人
「なぁなぁ、お前あのでかいのと友達?」
「あー。あの馬鹿・・・友達のようなモンですよ。」
「ひどいなお前・・・。なぁ名前は?」
「先にそちらが名乗りません?普通」
「向日岳人!二年テニス部だ!」
「一年日吉若でs「お前あの足ならあいつと一緒にテニス部こいよ!」はぁ・・・。」
(テニス部なら・・・下剋上できるかもな・・・。いいかも)
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