Dream

□イノセントネバーランド
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一緒にいたい、ただそれだけじゃ駄目なのだろうか。
気持ちよさそうに眠っている一松の頬をそっと撫でながら、声に出さずに問いかける。

問いかける…一松に?世間に?自分に?
もう分からない。けれど何回も、何回も、問いかける。

私の布団で眠ると安心する、一松からそう言われたあの日、胸に込み上げた熱さは一生忘れられやしないだろう。

ここで眠れば悪夢を見ないのだと、私と笑っている夢を見るのだと、そう言ってくれた。愛しいと思った、離したくないと思った。だから抱きしめた。
遠慮がちにまわされた腕は少し冷たかった。

愛してるから、愛されたいから、一緒にいたい。ただそれだけじゃ駄目なのだろうか。
お金とか、世間とか、親とか友達とか同僚とか、何にも縛られたくない。
誰に何を言われたって、あなたと一緒にいたい。それだけじゃ駄目なのだろうか。

猫が友達でもいいじゃない、人間の友達がいなくてもいいじゃない。
それがあなたを貶める理由になんて絶対ならないんだよ。
貶める奴らがおかしいんだよ。

私はあなたを笑ったりしない、貶したりしない、殴りも蹴りもしない。
愛してるから、あなたから愛されたいから。

喉が、目が、息が熱い。呼吸が苦しい。
恋と呼ぶには重くて、愛と呼ぶには汚すぎる気がして。声を押し殺して泣いた。

遠くで野良猫が鳴いたような、気が。
気のせいかな。



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