千と千尋の神隠し

□逢いたい
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私たち家族が「神隠し」にあってから、4年ほどたった

最初は気味悪がられ、軽いいじめやからかいもあったし、友達もできなかったのだが、中学に上がる頃にはそれなりに友達もできたし、親友と呼べる存在もできた

それほどの年月、たいした時間ではないかもしれない

でも逢いたい 逢いたいよ ハク





「千尋!聞いてるの?」
「あ、ごめん、なに?」

今日は美嘉ちゃんの家でお泊まり会なのだ
女子で泊まると必然的に起こるは、そう恋ばな
しかし私は憂鬱で仕方ない
確かに周りの子の気持ちを知れるし、仲良くなれるかもしれないが

「だから、千尋好きな人よ!いつ聞いてもはぐらかすし、でも今日はそうはいかないからね」
「美嘉ちゃん…そんなに聞きたいの?」

美嘉ちゃんは中学に上がると同時に引っ越してきた
つまり知り合ったのは中学に上がってから
つまり小学校の事はしらない
小学校のときからかわれてた原因を

「聞きたいよ!私は話したのに千尋だけずるいじゃない」

小学校のときからかわれてた原因、それは「ハク」についてだった
友達だと思っていた子に話したのだ
神隠しにあったときとても素敵な人に出逢ったの、と
しかし次の日には、神隠しじゃなく駆け落ちでもしてたんだろ、そんな王子さまみたいなやついるわけないだろ、などと言われて
それ以来あまり話さなくなった

「……否定しないでよ?」
「否定なんかするわけないじゃない、どうしてそんなこと思うの?」
「前に話したことがあるんだけど、そんな王子さまみたいなやついるわけないって言われたから」
「酷い!私はそんなこと絶対言わない!」
「じゃあ美嘉ちゃんには話すね、内緒よ」
「もちろん」
「その人はね、綺麗で優しくて強くて、わたしの事をとても大切に思ってくれる人なの」
「確かに王子さまみたいね、羨ましいな」

羨ましい何て言われたことなかった

「羨ましい?」
「うん、羨ましいよ。その人は誰なの?この学校?」
「ううん、違うよ、ずっと遠くにいるの、名前は──ハク」
「逢いにいったりしているの?」
「ううん、いけないの」
「そんなに遠いの?」
「うん」
「そっか、はやく逢えるといいね」

「ありがとう」










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