元々はね。

□魔女とカエルと・・・
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扉をあけるとそこは荒れ放題だった。

静かで人がいない。

いや、むしろ人の気配がしない。

「何なんですかー?ここはー?
 人の気配が全くしないんですけどー」

「ここはね、一応病院なの。ほら、そこの窓から見えるでしょ?
 大きな建物。そこがメインの病院で、
 ここは、オマケみたいな感じで使われていたんだけど、
 今は死を待つ人の家として使われているの。」

確かにそこの窓から大きな赤十字のマークが見える。

「あ、確かに見えますねー。」

フランは窓のある方向へ、目を向ける。

「しっかし・・・・。ここも全然変わってないのね〜。」

ドロップがそう呟いたのをフランは聞き逃さなかった。

「・・・・・?前にここに来たことあるんですかー?」

「・・・・。」

ドロップは少し黙ってから話した。

ーボンッ

ドロップの手から2つの本が出てきた。

1つは表紙が黒く、銀色の線で星が描かれており、

もう1つは白く、これも銀色の線で月が描かれていた。

「この白い本はね、私がいつ・どこで・誰に魔法をかけたか
 ということがしるされているの・・・・。
 私は昔にあなたに魔法をかけたことがあるのよ・・・。」

「え〜?!そうなんですか?!
 ミーにはそういう記憶無いんですけどー!?」

「だってそりゃそうだもの・・・。私があなたに対して
 かけたのが、記憶忘れの魔法だもの・・・・。」

「記憶忘れってもしかして・・・・・」

フランが問いだす質問を見透かすかのように答える。

「そう。そのことがあったことを無かったことに
 してしまう魔法よ・・・。とても寂しいでしょ?」

いまのドロップの表情はとても悲しかった。

「だから、今日はあなたにそのことを
 思い出させるためにここに来たの・・・。」

2人はしばらく黙ったままだった。

「とりあえず・・・、来てくれない?」

「わかりました。」

こういうことを話すのはとても辛いことだった。

聞くのも辛かったと思っている。

過去にあまり触れないで生きている彼女にとっても

こういう事実を知ったフランもすごく辛く、苦しかった。

2人は目の前にあったエレベーターで、三階まで行った。

2人はしばらく黙ったままで、会話をすることも無かった。

ーピーン・・・ガコッ

どうやら着いたようだった。
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