†小説†

□未タイトル
1ページ/4ページ

お風呂から出た私は一目散に目的のものを持って鏡を除き込んだ。

「むふー」
「ちょっとひとは。いつまでやってんのよ」
「!!」

鏡の前で夢中になっているとみっちゃんに声をかけられる。

「先に出たと思ったら…また?入る前もやってたわよね?よく飽きないわね〜」


みっちゃんが言っているのはハロウィンの時に杉崎さんに借りたリボンのこと。
何故ハロウィンが終わった後にも家にあるのか。
話はハロウィン当日にさかのぼる。
家族で改めてパーティーをしているところに杉崎さんがお母さんと来て……


―――――

「こんな時間に誰よ……え?杉崎?」
「……」
「こんばんは。みつばちゃん♪」
「こんばんは…って、さっき会ったばかりじゃないっ」
「うふふ、真っ赤になっちゃってかわいいわぁ」
「……」
「?…あ、もしかしてリボン?え、えっと悪いんだけど…」
「リボンはあげるわ(…もともとみつばに合うと思ってたし)」
「そ、そう?別に明日言ってくれれば…」
「これ、食べずに帰っちゃったから」
「?…っ、これは、生クリームののったプリン!!そういえばとっておいてそのままだったっけ…」
「ア、アンタのために用意したんだからアンタが食べなさいよ」
「わざわざ持ってきてくれたの?」
「生クリームがふわふわで美味しいから、みくちゃん絶対みつばちゃんに食べさせてあげたいんですって」
「ママ!!余計なことは言わない約束でしょっ」
「杉崎…」
「…っ(みつば…)」
「…みっちゃん、クッキー食べないの?なくなっちゃうよ?」
「あ…すぐ行くわ!!」
「……。みつばさんったら相変わらず食い意地張ってるわね〜」
「な、何よ。ひとはのクッキーすごく美味しいんだからね」
「(みっちゃん…)」
「そうだ、特別に分けてあげるわ。い、言っておくけどハロウィンだからよ?プリン持ってきてくれたお礼じゃないんだからねっ」

―――――



…ってことがあったのだ。
杉崎親子は抜け目ない。
みっちゃんのこと餌付けしないでほしい。
みっちゃんもみっちゃんで、とんでもない雌豚だよ。
……クッキー美味しいっていうのは凄く嬉しい言葉だったな。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ