†小説†

□誰にも譲れない願い
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「すぎさきぃ〜!来てあげたわよ〜」
「!」

太陽が照りつける夏。
声にドアを開けると、想像以上に汗だくになったみつばが立っていた。

「あら。ずいぶん早い出迎えね」
「た、たまたま玄関の近くにいたのよ。みつばこそ来るの早かったわね」

本当はいち早く迎えようと玄関で待ってたからなんだけど。
そんなこと言えるわけない。

「まぁね。それよりスイーツ早く持ってきてよ。その為に呼んだんでしょ?」
「それしかないわけ?今日は笹……」
「笹団子?できればチョコバーとか…アイスがいいんだけど」
「違う!笹飾りよ!」
「…笹飾り?」
「七夕だから飾ったの。大きくて凄いんだから」
「ああ。そういえば…ってそれで呼んだわけ!?」
「…ちゃんとアイスもあるわよ。でもせっかくの7月の風物詩なんだから見ていきなさいよ」
「…別に見たことあるし」
「どうせスーパーとかでしょ?」
「(うっ…)」
「特別に見せてあげる。つ、ついでに短冊に願い事書かせてあげるわ」
「ほんとっ?」


みつばがぱぁっと花が咲いたように笑うから、思わずドキッとしてしまう。
よほど叶えたい願いがあるのかな…?
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