創作 壱

□幸、朝まだき
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ゆっくりと瞼を開けば見慣れた天井が視界いっぱいに広がった。

小鳥の囀りを遠くに聞きながら暫くぼんやりとしていた彼女であったが、ゆらりと首を巡らせた瞬間、あまりの驚異に息を呑んだ。


「ッ、」


眼前に迫った寝顔。

至極穏やかな表情のそれ。


「・・・」


己の主。

そして、これからを共に歩むことを誓った伴侶―――。


「    」


その名を囁くように呟くと、自然と笑みが零れた。


「ッ、」


次いで込み上げる、胸を締め付けるような―――けれどそれでいて、どうしようもないくらいに堪らなく愛しい情。

湧いた想いに視界が滲んだ。


「・・・」


祝言をあげ、こうして共寝をするようになり一月。

未だに慣れぬこの瞬間は、彼女の胸底を暖かく満たしてくれるものでもあった・・・。


「・・・」


そっと腕を伸ばし、その頬に触れる。

冷気を伝えてはいけないと指先を掠める程度のそれであったが、微かでも確かな触れ合いは彼の瞼をぴくりと動かした。


「ふふっ・・・」


触れた先が擽ったいように身を捩っても、それでも戯れを止められない。

額にかかる髪を一房掬って指先で梳く。

孤の描かれた口唇を指の腹で撫でる。


「・・・」


全てに、引き寄せられてしまう。


「ん・・・」


彼女は腕を引いた。

ゆっくりと、その瞳が光を宿す。






今日という日の始まりに。

誰より貴方を愛せる幸せを―――。


「つらら・・・」

「―――おはようございます、リクオ様」








 

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