平凡少女アリスと狂った赤ずきん。
□本編
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「つまんない、退屈。」
草原を歩いていたアリスは蹴っていた石に向かって語りかける。
「何か面白いことはないの?ここ最近ずっとおんなじ事しかやってないもん。面白くな………」
ふと、カッと石を蹴っていたアリスの足が止まる。
アリスの目の前には懐中時計をぶら下げ、木陰で本を読んでいるうさぎの姿。
「……ん?」
うさぎはアリスに気づいたらしく、アリスのほうを向く。
「…うさぎって本を読むものなの?」
アリスはうさぎに近寄って本の中を覗き込む。
本の中には規則正しい文字の列。
「うげ。」
いかにも嫌そうな顔をしてアリスはうさぎに目を戻す。
「ねーねーうさぎさん。」
「…なんですか?」
おぉ。と声を漏らしながら、アリスはうさぎに尋ねる。
「本、好きなの?」
「…はい、すきですよ。」
本をぱたん、と閉じて懐に本をしまううさぎ。
「もっとも本を読んでる時間なんてないん――」
うさぎが話してた瞬間、ビビビビとサイレンがその場に鳴り響く。
「わっ!?な、何っ!?」
サイレンの音に吃驚するアリスを見て、うさぎは動揺しながらも、にやりと口元を緩ませる。
「…見つけました。」
うさぎは言うや否や、アリスの手をぐいっと引っ張る。
「へ?うわぁ?!な、何?!」
「“部品”が見つかったんです!」
懐中時計を揺らしながら、うさぎとアリスは草原の奥に駆けていった。
×・×・×・×
「小屋?」
しばらくしてうさぎが走るのをやめた。
二人の前にはどこにでもありそうな小屋。
「ええ、小屋です。さ、入りますよ。」
そういってうさぎは小屋に入っていった。
「…それにしても、」
ぐるりとあたりを見回してアリスはふと、思う。
―こんな光景何回も見たことあるような…ないような…
そんなことを疑問に思っていると、うさぎが小屋の窓からアリスを呼ぶ。
「早くきてくださーい!」
「い、今行くわ!」
―ま、いっか。
疑問をどこか頭の端において小屋に入っていった。
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