BSR

□透明感
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今日はBASARA学園の体育祭だ。

俺、猿飛佐助はついさっき100m近く離れていた1位との差を見事縮め、リレーのアンカーとしての役目をキッチリ果たしてきたところだ。早速片倉さんにも報告しようとして、しかしその前に水でも飲んで行こうと思い蛇口を捻ったその時、

「おわぁぁあぁぁっっっっ!!!!!」
誰だか知らないけどぶつかってきて。
「す、すみませんっっ!!」

おそらく一つ下の学年だろう。中学生から上がったばかりの幼さがまだ顔立ちに残っている。
「あーーーー…いいよいいよ。このぐらい。」
「でもっ…そのっ…」
少年が食い下がるのも無理はない。濡れたのは襟元は勿論、腹部の方までびっしょり濡れてしまっている。短パンも腰の辺り、それと半袖から滴ってきた水滴でほとんど壊滅的だった。

少年は挙動不審に手をワタワタと動かし謝罪の言葉をまくし立てる。
「大丈夫だって。保健室で借りられるでしょ。ていうか君一年だよね。次出番だよ?」
「ふぇぇぇっっっっ!!!や、やばっっ!!そ、そのっ…本当にすみませんでしたっ!!」

やはり少年はこれでもかという程謝り頭を下げていく。
途中色んな人にぶつかりその度に泣きそうな顔で謝るのが見える。

(あーぁ…君の方が大丈夫かよ。)

その様子を見送ってから佐助も向きを変え歩き出す。
濡れていて気持ち悪いがここで脱ぐ訳にもいかない。

(早く着替えて片倉さんに会いに行こーっと。)
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