□MY LOVER
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猫のように気まぐれに振る舞う、それも彼女だった。

おれを振り回すナミさんをすきだし、ナミさんに振り回される自分自身も別にきらいじゃなかった。

だけどたまに、おれが上手く振り回されてあげられなくて、ナミさんとすれ違ってしまって、傷つく。


「あんたに泣いて欲しかったのよ」


彼女に言わせてしまうまで、彼女の欲しいものをおれは知れなかったし、言って貰った今でも理解できていない。

おれを泣かせてどうしたいんだよ。


「たまには泣いてくれないと困るのよ」


知らない間にナミさんを困らせていた事実が、目の前に突き付けられた。

そんなことを言われたって、おれは君の前でこれからも泣きたくねェよ。でもナミさんを困らせたくもない。

すれ違うのは寂しいから、歩み寄ろうぜ。


「…泣いて。抱きしめたいから」


「…君はほんとにわがままで困る」


まわりくどくて、伝わりにくくて、ほんとに不器用すぎるけど。

彼女らしく表現されているそれを、見つけることができたおれは、きっとしあわせで。よろこびを噛み締めている。


「でも、すきだ」


たまらずナミさんを抱き寄せていた。


「君が抱きしめてくれると思えば、おれも素直に泣けそうな気がする」


ナミさんを笑わせたい自分自身とも付き合っていくし、おれを泣かせたいナミさんとも、付き合っていきてェんだ。

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