□彼女
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「中尉。君のそういうところが格好よくてすきだよ」
「光栄です。…しかし女性に対して格好よいとは褒め言葉なのでしょうか」
別に可愛いだとか綺麗だとかの言葉を大佐に求めている訳ではないけれど。彼のデート相手の女性達が、彼に格好よいと言われて喜ぶのだろうか。
「君だって私を可愛いと言うじゃないか」
「それは」
「愛される女は可愛くて、愛する女は格好よいのだよ」
「…はい?」
「つまり私を愛する君は格好よい訳だ」
そう言って笑ってから、大佐はカップに口を付けた。彼の口から美味いな、と言葉がこぼれた。その珈琲、不味くないんですか。
「つまり、貴方に愛される女は可愛いのですね」
だとしたら可愛くない私が貴方に愛されることは一生ないでしょう。
「中尉。君にしては珍しく正解だよ」
「正解しても嬉しくありません」
「何故?」
貴方に愛される可愛い女に嫉妬した、なんて誰が言ってやるか。
「…」
「…なかなか伝わらぬものだな」
「何がですか?」
「こっちの話だ」
「そのお話はわかりませんが、私は貴方を愛する格好よい女で居続けますよ、大佐」
「…あー、君ってホントに可愛いなあ」
「…どっちですか」
「どっちも。格好よくて、可愛い」

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