darkBlack×pureWhite


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全身に感じる、水の浮遊感。

それに逆らう様にして沈んでいく自分がいる。



……私、堤防から海に落ちたんだ…。



そういや昔もこんな感覚、経験したことあったっけ。

小さい頃、プールに行く度にプールサイドから足を滑らせて真っ逆さまに落ちて泣いてたんだ…。



ははは…。
私、運動オンチなおってないなぁ…。



とにかく水面に浮こうともがこうにも、浴衣を着ている今の私では
思うように体を動かせない。

そのうち肺の中の酸素が底をついてくる。



助けて……!!



そう心の中で叫んでも、私の息はもう限界に到達していた。

残った息を一気に吐き出した証拠に、大小様々な泡が水面に向かって浮いていく。

吐き出した息とともに意識まで奪い取られていく感じがする。

からっぽになった肺に、酸素のかわりに大量の海水が侵入してくる。

これ以上自分自身を保つのは無理な話だった。



ただでさえ水中でぼやけている視界が、
さらにかすむ。

苦しかった肺も、
やがて感覚をなくしていく。

意識が、遠のいていく………。



−−−私は、完全に気を失ってしまった。



でも……

視界が真っ暗になる瞬間、
すごく温かい“なにか”に

包まれた感じがしたのは……



私の、気のせい…かな……?




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