Sacred Vampire of Crescent.
□Princess of mercy, and merciless man.
3ページ/14ページ
レノを森の中の小さな洞穴に隠し、自分は現在地の把握、今後の対策、タークスへどう帰還するか、などルードはとにかく今の自分でもやれる事を模索し、行動を起こした。
たまにレノの様子を確認に戻りながら、彼の応急処置、可能ならば本格的な治療をできる医師も探していた。
「この街に医師は?」
「先生は隣町に回診中で…」
「………」
やっと小さな村に辿りつくが、医師はいるようだが、肝心の本人がいないときて、ルードは行き詰っていた。
「相棒が一人大怪我をしている…。我々はこのあたりの者ではないので、せめて医師が戻るまで誰か部屋を貸してくれないだろうか…。今は無理でも、必ず金を支払おう」
「そんなこと言われても、空き部屋なんて…。あ、そうだ!村長を訪ねてみたらいい」
こんな小さな村では、本当に家族が過ごす空間しか存在しないのだろう。
村人は真剣に困った表情を浮かべ、だがすぐさま対案を出してくれた。
「村長か…すまないが、案内してくれないか?」
「ああ、いいとも。困った時にはおたがいさまさ」
村人に案内され、村長に快諾され、ルードはようやくレノの所へ戻る事が出来た。
「レノ!」
レノの洞穴の近くに、血の臭いが充満していた。彼の出血は止血をしたけれど、それでも漏れた血液が、雨降る森の湿気に混じり、とても鼻につく。
レノは洞穴入り口すぐの所に横たわっているはずだ。
「く、こんのぉ…!」
そんな声が聞こえてきて、ルードはとにかく洞窟へと走る。
「レノ!?…なんだ、これは!」
「ぐるるう…」
レノを数人が取り囲んでいるように見えた。
これが、ルードを助けてくれた村の住民がレノを見つけてくれた、という展開ならどれだけ救われたことだろう。
残念ながら血の臭いに誘われ集うこれらを人間とは思えないし、ソレらはレノを獲物としてでも見ているようで、襲いかかっている。
ルードもすぐに懐から銃を出すが、レノとそう離れていない距離で、的がうろついて、数が膨大とあれば、いつどのミスで相棒を誤射してしまうかもしれない。
→
次へ
←
前へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ