Sacred Vampire of Crescent.

□Princess of mercy, and merciless man.
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レノを森の中の小さな洞穴に隠し、自分は現在地の把握、今後の対策、タークスへどう帰還するか、などルードはとにかく今の自分でもやれる事を模索し、行動を起こした。

たまにレノの様子を確認に戻りながら、彼の応急処置、可能ならば本格的な治療をできる医師も探していた。



「この街に医師は?」

「先生は隣町に回診中で…」

「………」

やっと小さな村に辿りつくが、医師はいるようだが、肝心の本人がいないときて、ルードは行き詰っていた。

「相棒が一人大怪我をしている…。我々はこのあたりの者ではないので、せめて医師が戻るまで誰か部屋を貸してくれないだろうか…。今は無理でも、必ず金を支払おう」

「そんなこと言われても、空き部屋なんて…。あ、そうだ!村長を訪ねてみたらいい」

こんな小さな村では、本当に家族が過ごす空間しか存在しないのだろう。
村人は真剣に困った表情を浮かべ、だがすぐさま対案を出してくれた。

「村長か…すまないが、案内してくれないか?」

「ああ、いいとも。困った時にはおたがいさまさ」

村人に案内され、村長に快諾され、ルードはようやくレノの所へ戻る事が出来た。









「レノ!」

レノの洞穴の近くに、血の臭いが充満していた。彼の出血は止血をしたけれど、それでも漏れた血液が、雨降る森の湿気に混じり、とても鼻につく。
レノは洞穴入り口すぐの所に横たわっているはずだ。

「く、こんのぉ…!」

そんな声が聞こえてきて、ルードはとにかく洞窟へと走る。

「レノ!?…なんだ、これは!」

「ぐるるう…」

レノを数人が取り囲んでいるように見えた。
これが、ルードを助けてくれた村の住民がレノを見つけてくれた、という展開ならどれだけ救われたことだろう。

残念ながら血の臭いに誘われ集うこれらを人間とは思えないし、ソレらはレノを獲物としてでも見ているようで、襲いかかっている。

ルードもすぐに懐から銃を出すが、レノとそう離れていない距離で、的がうろついて、数が膨大とあれば、いつどのミスで相棒を誤射してしまうかもしれない。
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