Sacred Vampire of Crescent.
□Princess of mercy, and merciless man.
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今から遥か、数百年前。
レノとルードは、タークスとしてある重要な任務を負っていた。
「くそ!」
「レノ、ここは…退くしかない」
「ここまできたのにか、と!」
「だが、ここで…死ぬわけにはいかない」
レノとルードは下調べ通りにいかなかった敵のセキュリティに四苦八苦し、やがて、逆に追い詰められ始めていた。
ここまでこられたのは、彼らがタークスのエースだったから、だ。
「…わかった、と!」
ルードが撤退を進言し、レノが食い下がるけれど…
ここで退却しなかったら、相棒までもを危険にさらす。レノはそんな冷血さは持ち合わせていなかった。
アジトを脱出しても敵の追撃が待っていた。
ルードが、重傷を負ったレノを担いで、敵の分散を狙いながら、とにかく目立たない場所へ、血の臭いの隠せる所へと必死に逃げていた。
「いたぞ!」
「く…」
森を蛇行したおかげで敵の数も大分減らす事が出来たが、森を抜けた場所でついに背後を崖に、追いつめられた。
「レノ…。すまん」
「諦め、んのか、と…」
背中からは苦悶の声。
ルードはここから先、大事な相棒を抱えてどうやって切り抜けたらいいのか、思い浮かばなかった。
崖下は海。
だが、この重症のレノを抱えて飛び降りたら、ただでさえひどいレノの出血は助長され、そもそも着水のダメージを耐えられるか。
「…やれよルード。…俺が派手好きなの、知ってるだろ、と…」
「レノ…っ」
「盛大に飛び落ちてみせようぜ、…と!」
レノがルードを促すかのように重心を背後に傾ける。
二人は、追手の銃弾を丁度掻い潜る形になって、海へ真っ逆さまに落ちて行った…。
海に飛び降りた事が幸いし、何とか陸に上陸したときには敵は追跡を諦めていた。
犬を使って臭いを追ってきた彼らも、水に飛び込めば臭いの追尾は不可能だった。
「レノ、レノ!」
ルードは自分の冷え切った体を顧みず、レノの身を案じた。
「お互い様…だな、と」
「生きていてくれたか…」
ここがどこなのかはわからない。
だが、ひとまずレノの命が繋がっている今この瞬間にルードは信じもせぬ神に感謝をするのであった。
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