Sacred Vampire of Crescent.

□Nocturne which fantasy plays.
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「ツォン、イリーナ、そこに並べ」

ルーファウスは、二人にそういうと瞳を閉じた。

「…お前たちからは10年もの寿命と引き換えに戦闘能力を引き上げる契約を交わしていたな」

「ルーファウス様?」

「いえ、しかし我々はお陰で今まで負けることなどありませんでした!これからもルーファウス様にお仕えしていきます!」

ルーファウスは微笑する。

「…私には過ぎた幸せだな。お前たちが外で口外してもいいように、わざと残酷な契約にしていたのだ…許してくれ」

ルーファウスの足元が光り輝く。
魔法陣が浮かび上がり、ツォンたちをも飲み込んで光り輝く蒼が魔法陣を色濃くしてゆく。

「…まさか…」

「お前たちの契約をやり直す。今のままでは…玄関先はお前たちには厳しい状況になっているかもしれないし、これからの私の使い魔に、そんな酷な契約など与えられない」

ツォンもイリーナも、今から何が起こるのか分かっているようで、大人しくしている。


「…Accept.(アクセプト:契約を受諾せよ)」

魔法陣から縦に伸びた光が、受諾するべき二人を包み込む。

「我が血にかけて、契約を解約する。そして新たな契約をここに締結する…」

ルーファウスの使い魔となった段階で結んだ契約をキャンセルする。
そして、新しく契約を更新する…。

なかった事にされた能力は、今まで彼らから奪った年月を彼らに返還した。

二人同時に行うのは、本来一人しか使い魔を有せない吸血鬼…たとえルーファウスの様な上級貴族の中のエリートでも、体への負担は大きいだろう。


「ツォン。そしてイリーナ。『この先も私と共に命運を共にすると誓え』そうすれば、私はお前たちに『一度の戦いの中で一度だけ、私の能力を使用できる権利を与えよう』

「…どこまでも、お供いたします」

「これからも、今まで以上の尽力を…」


彼らのその返事を以って契約は締結され、魔法陣は幻想的に夜闇に儚く散る。

…契約は、成功したのだ。









「ジェ…ジェノバが一体残らず…!」

現場に到着した時、全ては終わっていた。
ジェノバは全て再起不能がまでに破壊されつくし、ヴィンセントの前で怯えて尻餅をつき失禁している研究者たち。

…これではもう、どうしようもないだろう。


「ルーファウス、無事に終わったぞ…////」

「全く、私相手の時とは比べ物にならない戦闘能力の本領を発揮したようだな…」

5分かそこら。10分は経っていなかったと思う。
その間に数千の武装戦闘兵器である戦闘機械を破壊しつくしてしまったのだから。

…辺りには弾丸やサーベルやバズーカが着弾した痕跡がたくさん残っているというのに、ヴィンセントは全くの無傷だった。

虎の子のジェノバが修理ができない位に全滅してしまったら、人間の科学者3人ばかりに何ができるというのだろう。
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