Sacred Vampire of Crescent.

□Ring of Uroboros.
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そうしたら今度は自分のリハビリも兼ねて飛空挺に直に乗ってもらってトレーニングを開始した。

もうあまり時間もなかったので短期間集中コース。鬼のようにビシバシ鍛えたが、全員が全員最後までついてきてくれた。これで準備完了である。

その飛行士の卵たちはいま、庭先に無事に着地できた事にまず、はしゃいでいることだろう。
なにせ森林地帯のぽかんと一か所だけ開けた場所にピンポイントで着地しなければならないのだ。相当の技量が必要である。


「皆、準備はいいか?ヴィン、『弁当』は持ったか?」

「ああ、大丈夫だ…////」

旅の最中、ヴィンセントはこれから宝条のくれた輸血パックで食事を取るつもりらしい。
インヤンの作ってくれた暖かで美味なお食事も暫くおあずけである。
レノ達は人間だったものだから行く先々の街で何でも食料を確保できるのだが。

先日宝条のくれた輸血パック保存機携帯用を持って、飛空挺に乗り込むのは絶世の美人。使い魔のレノ、ルード、パイロットにして道先案内人のシド。

インヤンとファニーフェイスたちは今回屋敷の警備に残る事になった。
といってもいざ戦える奴はいないので、まず少しだけ旅をしてみて不安やしんどそうな雰囲気が強くなったらレノ達を帰らせようという考えだった。



「全員乗り込んだな?」

シドが最後尾でハッチを閉じると、皆ヴィンセントにわらわらと集まっていてその美貌を少しでも見たいと騒ぎになっていた。
そして皆、早速夢見心地でこの世のものとは思えないその比類なき幻想を凌駕した美貌に魂をどこかへ持っていかれてしまったようだ。

そしてレノとルードが威嚇しているという状況で、何とも想像通りなので笑いがこみ上げる。


「おら!お前ら持ち場につけ!今回雇ったのは何のためだと思ってんだ!出発予定を遅らせたら、その原因の奴は即刻クビだからな!他の奴らもそいつ抜きで仕事が増える事になるぞ、今更新しい奴なんざとらねぇからな!給料も半額にしてやる!」

空の上ではシドがリーダー。
伝説のパイロットに逆らえる者なし。

皆わらわらと散って持ち場につき、操縦桿を握りしめて仲間の合図を待った。


「ヴィン、レノ、ルード。早速疲れる様な事になっちまってわりぃな…。空に飛んじまったら誰も脇見なんざできねぇからいいんだが、もし不快だったらあっちに部屋があるからそっち行っててもいいぞ?」

そう説明したら、レノとルードは「んな事聞くまでもない!」とヴィンセントを連れて行こうとしたが、肝心のお姫様が
「人間の英知の結晶」たる飛空挺の操縦風景を見てみたい。
と言った純粋な表情をしておられたのでその場に待機となった。



まったくもう、このカワイコちゃんめ。
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