Sacred Vampire of Crescent.

□Secluded daughter.
2ページ/13ページ


「あ、シド…////」

「お、おう…////」

なんなんだ、この雰囲気は!恋人同士の逢瀬じゃあるまいしよぉ!


そんな感想を抱くシドが、昨日のように椅子を勧められる。こんな美人が頬を赤らめて自分を待ってたらタマラナイ。


「さぁて、どっから聞きたい?こう見えて世界中回ったからな!しかも足で、空からもだ!」

「…っ!」

ヴィンセントがびっくりして深紅のお目目と小さなお口をぱっくりと開いていて可愛らしい。

「シド、飛べるのか?」

「いや、お前さんの想像とは違うだろうなー…。俺様は冒険家になる前パイロットだったんだよ、しかも名の知れた、な!」

「…っ////」

わくわくした子供の様なその様子も可愛らしい。

「ニブルは見てるんだもんなー。近場で俺様の故郷か?ロケット村。山挟んですぐだぜ!」

「そんな近い場所に生まれたのか、シドは…////」

「俺がびっくりよぉ!吸血鬼調べてって世界中回って、姫の居場所の一番可能性高いのが山挟んですぐのここだったんだからよぉ!」

いつの間にか互いに親友の様な雰囲気で話をしている。この雰囲気がシドを更にいい気分にさせてくれた。

「ロケット村。昔はロケット打ち上げの話もあって、当然俺様にパイロットの話があったんだがなー。宇宙は見た事あるか?」

「星がたくさんあって…静寂の場所だろう?私たち王族の居城は本来、月だったから…」

「あ、そうだっけな!でも、【井の中の蛙、大海を知らず】ってな!人間にとっちゃ凄まじい一歩だったんだぜ!」

「【されど、天の高さを知る】…。私よりも今の世界中に詳しいじゃないか…////」

憧れでも抱くような瞳で見つめてくる。
そしてシドは、やっぱりヴィンセントは知識があるよなあと尊敬するのである。

「打ち上げちまったからロケットはもうないんだけどよ。見せてやりたかったぜ…人間様の知識の結晶をよ!」

「ああ、みてみたかった…////」

「んで、俺様の村を出て西に行くとウータイってのがあって、ここは世界中でも珍しい文化が根付いてる。温泉もあるんだぜ〜。ここは険しい山に囲まれてるから行くのは骨が折れたが、一晩ウェアウルフに宿を貸してもらえた経験が俺様には貴重だったな!」

「…いいな〜…////」

ヴィンセントは温泉に特に興味を示したようだ。ならば、と話を進める。

「アイシクル・ロッジって雪国にも温泉があるんだぜ!」

「あ、数百年前に行った事がある…風流だったな…////ニブルで診療所を開いている宝条も、昔はここに住んでた時期があったらしい…」

「へえー。こないだは会えなかったな。話を聞いてみたいもんだ」

意気投合とはこういう事を言うのだろうか。
二人は互いの知っている部分をさらけ出して二人で共有し、楽しんでいる。


二人にとって、何とも有意義な時間だった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ