Sacred Vampire of Crescent.
□End of Longsleep.
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「…おっと。すまない話がそれてしまったな」
主人が元の明るい調子を出そうと無理をしている事はわかるが、だが男としてはここへ来た目的は果たしたい。
だから、主人の苦笑いに、苦笑いで返した。
彼の心境を理解できるから、逆にこうするほかになかったのだ。
「吸血鬼幻想は、確かにこの村が発端だ。だが、この村に何かがあるわけではないんだよ」
「へ?」
「ここでは何だ…奥にどうぞ。詳しい話をお聞かせしましょう」
主人が、自分の出てきた部屋を勧める。
確かに店頭で立ち話では客人に失礼だし、店に来る客にも失礼になる。
そして、内容が内容であるため、誰かれ構わず耳に入れていいわけではない。
(…村人の中でも…幻想を詳しく知ってるのは少数ってことか…)
男はそう結論付けて、主人についていくことにした。
「…ささ、おかけになってください」
部屋に通されてすぐ、男は椅子を勧められた。
正直道中で疲れていたので、ありがたく座らせていただく事にして…
主人が切り出すのを待った。
「それで、貴方はどのようにここへ?」
「!おっとすまねぇ…俺はこういうもんなんだが」
男は自分がまだ名乗ってさえいない事を思い出し、懐から名刺の様な物を取り出そうとした。
「…なんでぇ…切らしてら。わりいな。俺様はシド・ハイウインド。しがない冒険家さ」
「シドさん…?あ、もしかして伝説のパイロットだった、あのシドさんですか!」
「俺様を知ってんのかい?」
「ええ、ええ!私、実は子供のころ、そういった職業に憧れていたんですよ!…っと、またそれてしまいましたね…すみません。
シドさんは優秀なパイロットだったと有名で、憧れでもありました。何でも聞いてください」
「お、おう…」
主人が一気にシドに心を許したその様子には軽く驚いたが、これで情報が得やすくなったかなとシドは安堵する。
「実はよぉ…」
シドは説明した。
パイロットから転身した理由や、自分が吸血鬼幻想に惹かれた理由などを、かいつまんで短めに話をしたが、主人は興味深そうに聞き入ってくれていた。
さて、どんな情報が来るのか…
シドは、わくわくしながら主人を見ている。
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